「愛酒樂酔」

2024-05-03 | 読書

 坂口謹一郎氏の「愛酒樂酔」より一首。
  とつくにの葡萄の酒はきらめきて切子のはりの盃にあふれし
 若い頃、酒を飲まぬ夜はない頃、坂口謹一郎氏の「古酒新酒」という本を読んだ。
 酒を愛する思いがあふれ、読むうちに、酒の香りをわがものとしたくさせる極上の書。
 葡萄からつくった酒も好きだ。
 シェリー、ワイン、ブランデー・・・それぞれに思い出もある。


“オールド・デヴィル・ムーン”

2024-05-03 | 【断想】音楽

 カサンドラ・ウィルソンが歌う「オールド・デヴィル・ムーン」を聞く。
 歌詞の内容は、「あなたの瞳には、“デヴィル・ムーン”があって、魔的な光に、わたしは恋に落ちてしまう」と言うようなもの。
 アダムとイブのあいだにも悪魔がいる。
 悪魔は人に知恵をもたらした。
 ちえは、社会的感情ともいえるか。
 知恵があるゆえに不幸・苦しみは増える。
 人間社会に悲劇をもたらしもする。
 昨日から、ボードレールの「悪の華」を読み出した。
 堀口大學訳のものである。
 本棚のものは古くて、活字が薄くなっていて、新しい文庫本を買った。
 その読者向けの最初の詩にも悪魔が出てくる。
 その悪魔によって、わたしたちは、木偶のように操られ、日ごと一歩づつ地獄に落ちるとある。
 「オールド・デヴィル・ムーン」と言うとき、“オールド”には、どんな意味があるのかと思う。
 いにしえからのと言うようなことであろうか。
 そうも思うが、老いさらばえて魔力の衰えた悪魔を思い浮かべてしまう。
 なんだか哀れで、おもしろい。
 徒然なるままに。