式子内親王・いまさくら咲きぬと見えてうすぐもり春にかすめる世のけしきかな
桜の季節は過ぎてしまった。
でも、この歌も取り上げたい。
その季節には、薄曇り、霞む景色が、それらしい。
式子内親王全歌集・改訂版(錦仁編・おうふう・昭和62年)をかたわらに、気に入った歌をピックアップし、一言づつ、わたしの思いを添えてきた。
見当違いのものもあるかも知れない。
前にも同じようなことをしたと思う。
今回は、あと五つくらい残っている。
式子内親王・ときのまのゆめまぼろしになりにけんひさしくなれしちぎりとあおもへど
夢にだいぶ前に亡くなった友人が出てきた。
仕事仲間の集まりがあって、それが終わって、行ける者たちで飲みに出かけた。
ワイン・クラブみたいな見かけが洒落た店だった。
中は、長いカウンターがあるただの居酒屋。
彼を見て、嬉しくて、「やあ、なくなったとばかり思っていたよ。いま、どうしてるんだ」と声をかけた。
彼の京都での葬儀に行ったことは、夢のなかでは、思い出せなかった。
この夢によって、当時の友人たちのことが、若くて元気な自分達のことを思い出した。