「スター・ダスト」は、ジャズと言うかポピュラーと言うか、広く知られた名曲である。
ホーギー・カーマイケル作曲(1927)
ミッチェル・バリッシュ作詞(1929)
“・・・Love is now the stardust of yesterday・・・”「恋はいま、過ぎし日の星くず」と歌われる。
キーリー・スミス、サラ・ヴォーン、ナッ・キング・コールのヴォーカルで聞く。
器楽の演奏で、エディー・ヒギンズのピアノ・トリオとスコット・ハミルトンのテナー・サックスで聞く。
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」(ヴィーナス)に収録。
ジャズのスタンダード・ナンバーのひとつ。
「Bye Bye Blackbird : サヨナラ、黒い鳥」。
「ブラックバード」とは、何なのか。
日本だったら、不吉な感じのする烏を連想する人も多いだろう。
アメリカでは、もっと別のものを連想する人が多いことを念頭に、この単語が使われたのではないだろうか。
「ブラックバード」は、黒人芸人を指すスラングとも聞く。
チャーリー・パーカーが、“バード”と呼ばれていたことが思い浮かぶ。
そして、パーカーと同居していたこともあるマイルス・ディビスが、この曲を演奏していたこと。
そして、マイルスが死んだとき、共に演奏活動もしたキース・ジャレットが、追悼の意をこめて、まさに「バイ・バイ・ブラックバード」との名のアルバムを出したこと。
ブラックバード=パーカー=マイルスと繋がって、イメージが形づくられるのである。
それに、パーカーに縁があったアルバート・アイラーやジョン・コルトレーンがこの曲を演奏している。
コルトレーンは、以下に記す「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」で、マイルスと演奏もしている。
もともとは、この曲、1926年に、モート・ディクソン(作詞)、レイ・ヘンダーソン(作曲)の二人によって作られた。
ヴォーカルでは、サラ・ヴォーンのがいいらしい。
手元に、この曲が収録されたCDがあるのは、以下の三つ。
1955年:マイルス・ディビス/ラウンド・アバウト・ミッドナイト
1963年:アルバート・アイラーの/マイ・ネイム・イズ・アルバート・アイラー
1993年:キース・ジャレット/バイ・バイ・ブラックバード
この三つを聞いて思うのは、やっぱりフリーに接するには、普通とは異なるポジションに立たなくてはダメだなと言うこと。
アイラーは好きだけど、これはいただけないなと言うところ。
キース・ジャレットは、ホーンなしのトリオ演奏、これは素晴らしい。
ジャレットの思いが伝わってくる。
マイルスのは、やはり素晴らしい。
コルトレーンのサックスがなくてもいいようにも思う。