皆さんはこれが何であるかご存じだろうか。
もちろん、タダのタライではない。
「8時だョ!全員集合!」のDVD特典でついて来た「ドリフの金ダライ」なのだ。
この金ダライを、僕は同じくDVD特典の「ヤカン」と共に部屋に飾ってあったのだが、
先日、父の部屋にめぼしいおもちゃはないかと、
目を皿のようにした息子のお眼鏡にうっかり適ってしまい、
以来ずっと彼のお風呂の友になってしまったのだった。
なんの思い入れもない世代にとっては、まったく朴訥なただのタライのはず。
だが、息子はなぜかいたくお気に入り。
水を汲む、おもちゃを入れる、浴槽に沈める、太鼓にする、
持って踊る、ぐい呑みに使う…とさまざまにお楽しみだ。
まさか実用に供されるとは製作側も思わなかったのだろう、
特典を示すシールも剥がれ、表面の艶も消え、ザラザラと色褪せて、
まさに昔ながらの(どこの家でも庭先に置いてあるような)金ダライの様相を呈して来た。
そんな金ダライ、息子の最近のお気に入りは、
シルクハットよろしくアタマにかぶることだ。
斜めになった庇から覗く妖しい視線。
この不思議な色気の既視感はなんだろう、往年のジュリーを彷彿とさせる。
見れば、
♪片手にィ〜ピストルゥ〜(水鉄砲)アタマにィ〜金ダライィ〜♪
うーん、我が息子ながら、なかなかにキマっておる。
そんな不敵にグラムロックな息子、
本日もご機嫌よくタライをお召しになっていたのだが…今日はやや勝手が違ったようだ。
被り方が良くなかったか、はたまたポージングに難があったか、
スルリとアタマから落ちてしまった。
そしてその先にはあろうことか、
父に抱かれながら「いい湯だな」満喫中の娘がビバノンノンしていたのだ!
果たして、見事に金ダライは娘の脳天に命中。
しかし、タライは図ったかのようにクルリと回転し、
もっともダメージの少ないであろう底面の中心が、キレイにスコン、と当たった。
正直、イイ音がした。
わずか10数センチの落下距離とはいえ、歴戦の加藤・志村ならいざ知らず、
日々の何もかもが初めて尽くしの娘にはビックリだろう。
祖父と父から受け継いだ、家中に響き渡るような大声で大泣きはしたけど、
幸いにしてアタマには異常なし。
今後の同様の事故防止のため、父の強権発動により、タライは再び展示室へ。
今度は息子が大泣き。勝手にしやがれ。
ということで我が娘、生後3ヶ月にして
「ドリフの金ダライ」というエンタメ界の熱くハードな洗礼を受けるの巻。
んー、ダメだこりゃ。