1歳馬が第一趾骨(基節骨)の底側突起を骨片骨折した。
この球節内に起こる骨片骨折をOCDだと言う人がいるが、私は種子骨靭帯に引張られる骨折としての要因の方が大きいと考えている。
この1歳馬はセールに出す予定だったのでレポジトリーX線撮影も受けていて、異常なかったそうだ。
しかし、後肢球節が腫脹し、跛行し、X線撮影したら骨片が見つかった。
骨片の周りには透過域があり、見ようによっては”いかにもOCD”と言いたくなる。
しかし、もともとは少なくともX線画像で判明するような異常はなかった。
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温存すれば症状は消えるだろうが、馴致や調教で再発する可能性が高い。
関節鏡手術することにした。
この部分は観ることさえ難しい。
写真下が種子骨の遠位部。その上の靭帯に埋もれているのが骨片。
種子骨靭帯に引張られてのavulsion fracture なので、その種子骨靭帯を小さなナイフを入れて切断する。
(avulsion fracture ; 本当の”剥離骨折”だが、日本の馬業界ではchip fracture; 骨片骨折を”剥離骨折”と呼んでいて混同されるので、avulsion fracture は「裂離骨折」とか「捻除骨折」と呼ぶのが良いのだろう。
誰だよ、chip fracture を「剥離骨折」って誤用したヤツ)
摘出したところ。
骨片は長辺で1.3cmあった。
周りの微小海綿骨や靭帯の切れ端を整理したところ。
第一趾骨底側突起の凹みは骨としては埋まらないが、線維性組織で埋まって種子骨靭帯もそれなりに再生される、はず。
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暑さもピークを過ぎたようだ。
たちまち寒くなる北国では、行く夏を惜しむ気持ちが強い。
COVID19でどこへも行けない夏でも・・・・・
レース中の怪我はどうにも直視できない。ちゃんと治っていいレースできますように。
chip fracture 言っちゃってるなぁ。
同じ気温でも日の出、日の入りが違うと季節を感じる。と朝夕思うこの頃です。
競走馬になるのに大きな問題ではありません。
日暮れが早くなってきました。
爽やかな季節を楽しみたいと思います。
靭帯に埋もれる骨片とかイメージが目視できると覿面ですね。
きっかけはなんであれ線像があらわす様に病態が維持進行される仕組みはOCDと類似しているのでしょうから搔爬するのは正解なのでしょう。
OCDの軟骨に比べ靭帯の付着としての再生の方が難しくないと思いますがそうでもないでしょうか。