馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

手こずるかなと思った関節鏡手術2例

2020-11-26 | 関節鏡手術

朝、当歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

骨軟骨片が足根骨の前(背側)へ落ちていて、やっかいかな、と思って自分でやる。

が、さほど苦労はしなかった。

距骨外側滑車から剝がれた軟骨は3cmと大きかったものの、関節包に癒着もせず、近位足根間関節にはまり込むには大きすぎたようだ。

                 -

午後も、第三手根骨の不完全な盤状骨折で、screw固定しなければならないので自分でやる。

不完全盤状骨折、と思っていたが、完全に割れており、関節内にも亀裂があった。

針を刺して位置の目印にする。

3.5mm cortical screw をlag technique で挿入した。

位置は良好。

しかし、この第三手根骨、よく見ると内側が矢状 sagittal 方向にも割れている。

さらにその外側よりに亀裂が見える。

もう一本screwを内側から外へ挿入するか考えたが、押さえたい骨の幅や厚さは screw head に比べて小さすぎる。

無理をして崩れたら残念なことになる。

通常の盤状骨折でも6ヶ月以上の安静・休養が必要だ。

しっかり休めば第三手根骨も回復するだろう。

橈側手根骨の損傷部をデブリドして手術を終了した。

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この2歳雌馬、注射をうつのもたいへん。

その性格も直せ。

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新たな修行を始めた。

とても難しく、厳しい;笑。

 



4 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2020-11-26 07:24:31
 今後の見通しが「回復するだろう」と言われたらどれだけほっとすることか。競走馬として生きることを望み、そのことを理解すれば。
 軟骨の再生医療は自覚症状改善において、患者さんの満足度は高いようですね。おんまさんにはどうでしょ?
 性格改善というか馴致かな?hig先生への依頼はなかったのですね。

 あら?何に挑戦中でしょ?
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>はとぽっけさん (hig)
2020-11-26 19:28:31
なかなか理解してもらえないです。慎重に休養してもらいたいので重症だと言えば、あきらめられたりしますし、それほど心配しないでも、と言えば早期に調教を始められたりします。

今回の症例などは、軟骨下骨が割れてしまっているので、それが治らないとどうしようもないです。軟骨を修復する方法があれば適応症は多いと思います。

私は痛いことをするばかりなので、性格は直せないですね。
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hig先生、こんばんわ! (nemobaba)
2020-11-26 21:01:44
あら!スラックラインに挑戦ですか!
何センチの高さから始めたのかな・・
バランス感覚を試されますね。たのしんでくださいませ~
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>nemobabaさん (hig)
2020-11-27 04:20:07
子供たちと遊ぶのにやってみました。とても難しいです。高さは低くて良いようです。あんまり低いと地面に着いちゃいますけど。

精神統一や集中力も鍛えられそうです。
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