生後1ヶ月の黒毛和種、牡子牛。
発熱と臍の腫脹でずっと抗生剤治療してきた、そうだ。
超音波検査で尿膜管に膿瘍が確認されて、もう手術した方が良い、ということになった。
開業の先生からの症例だが、いつも帯同して来る若い先生に助手をしてもらった。
臍静脈も化膿している。
化膿巣を破らないように腹腔へ到るのに注意が必要。
尿膜管は大きな膿瘍になっていて、臍動脈もそれに沿って化膿している。
大網が癒着していて、尿膜管そのものも腹壁に癒着している。
途中、膿が染み出たが、鉗子で挟んで止められた。
巨大。
先の培養で、病原体は例によって Trueperella pyogenes であると同定されている。
日和見感染菌だというが、こういう牛の膿瘍から採れてくるのは片っ端からこの菌で、とても治り難い。
だれか、ワクチンとか、トキソイドとか研究していないのだろうか??
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手術が終わる前に、次の永続的気管切開の馬が来たので、私が対応した。
午後は、2歳競走馬の骨盤骨折のX線撮影。
続いて、2歳の第一指骨骨折のscrew固定。
あのコミックのモデルになったような危ないタイプの骨折だった。
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まだ暑いね~
空は秋模様なんだけどね~
育てたとは一概に言えない所があります。
臍と子宮の内容物の共通点は必ずしも自家組織ではない所だと思います。
多分共生機構がありますね。
他の膿瘍からも分離されるところを見ると本体は寄生組織というより壊死組織なのかも知れませんが、この辺もう少し知れれば方策があるのかも知れません。
これぐらい切れれば腸管手術もできそうですが、そうとも限らないのは失われて困る器官と排除しようとしている組織に介入する所が予後を大きく左右するからでしょう。
世の中喰って生きて行くモノだけどんどん増えてくのはなぜなんだー
何らかの条件に合致して発症してしまい、長期に抗生剤治療して、治ったようでも再発しちゃう。ということかなぁ?
どんな条件で発病、悪化するんでしょね?できれば予防したいですね。
これ以上外科治療待っていたらパンクしちゃうとこでしたね。外科治療を第一選択にしないのですか?
動物用医薬品等データベースが新しくなってた。
Tru「e」perella pyogenes だった。わざとかも?
オラ君、秋待ちの朝は気持ち良いですね。日中は大変?
Trueperella は細胞を融かし、壊死させ、バイオフィルムを作り、膿瘍となり、生き残っていく、ということらしいです。どうもそれだけではないようにも思います。
われわれは衛生的な手術室で、体動のない麻酔をしているので、このような開腹手術ができるのかもしれません。
しかし、難しいことではないと思いますけどね。
ある程度、抗生物質で叩いて小さくして、完治しないと判断したら、大きくなって再発する前に外科手術すべき病態ですね。
どうも増えているのではないかと思うのです。全国的に手術で助けれているとも思えません。
trueperella でした。タイトル、文中、修正しました;感謝
其処で時間作ってくれるチーム力もある訳でして。
やった事ない人の助手に入るのは術者として出来る人でもスキルあげますね。
信用される組織ならその機会を作るのも難しくないですが、今回は胴元も違いますからね笑
消毒手技や遺伝的背景などという学術トレンドも考えますが、以前は単に放していただけなのかも知れません。
臍が悪いと気づかずなんとなく発育不良扱いであったり、すっかり発育してから自壊なんて事もあったのでしょう。
融解させる力は相当な印象を受けます。
畜体のシスト形成能力と協調して異物除去しているという観点からすると共生的かも知れません。
確かに薬剤耐性やバクテリオフィルムを武器にする緑膿菌や黄色ブドウ球菌に比較すると日和見的には出現しないですね。
この子牛も術前は3cmの膿瘍になっている、ということでした;笑
超音波装置が普及して外科手術される臍膿瘍が増えたのでしょうね。Trueperella は日和見感染菌ではないと思います。病原性がもっと認識され、研究対象になっても良いと思います。
やりますねぇボス。
受ける方も試されてると思いますよ。
治りにくい症例は結果によらず正確さが求められますし、治らない症例は得てして不正確の積み重ねで時にそれは決定的であったりします。
診て見ないふり出来た時代ではないですからね。
フレグモーネの様な感染が外科的にとり切れないのに対してシスト形成して結果アプローチができるというのも個性的ですよね。
そして最終的に多くは自壊するので不都合なシステムを持った感染とも言い切れないのです。
この辺どのタイミングでどう対処するのが正解か追求されると助かりますね。
願わくばシストシステムを解明して多くの感染症が外科切除できる様に持っていけたら良いのですけど。
早期診断早期治療、この病気もまさにそうですよね。