先日、乗馬クラブでの蟻洞の多発が、飼料の改善で減少した報告を紹介した。
では、亜鉛欠乏はどうして蹄質の悪化につながるのか?
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酪農学園大の鈴木先生が、ゼノアックセミナーで「角質形成に関わる微量元素とアミノ酸」と題した講演をされている。
私は、この講演を聴いていないのだが、ハンドアウトを読んだだけでもたいへん興味深い。
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繁殖雌馬は分娩ごとに蹄輪ができる。これは、周産期に低カルシウム血症が起き、角質分化が遅れることによる。
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では、亜鉛欠乏は?
亜鉛は角化過程におけるキーミネラルで、
角質細胞の分化において働く酵素群の多くは亜鉛結合型金属であり、
亜鉛を含んだある種の蛋白質は角化細胞の生成に必要で、
亜鉛は角化細胞の分化誘導を調節する酵素やホルモン群の合成を調節している。そうだ。
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銅も
蹄の構造保持に働いているジスフィルド結合を強化するチオール酸化酵素にとって、銅は活性化因子だそうだ。
また、蹄の構造保持に働いている細胞質内結合(セメント)物質は、不飽和脂肪酸に富むため酸化侵襲に弱い。亜鉛、銅、マンガンを活性中心にもつSOD(スーパーオキサイドディスミュターゼ)は、この酸化侵襲を防ぐ。
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マンガンはプロテオグリカン合成に働く酵素を活性化するのに重要。プロテオグリカンは硫酸コンドロイチン側鎖の分子群であり、軟骨や骨形成の土台になる。
このため、マンガン欠乏では骨格筋異常、肢湾曲、腱短縮による「ナックル」が起こる。さらに、蹄は、蹄を堅牢にするための硫酸コンドロイチン不足により軟蹄になる。
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セレンもSODとして働くグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分なので、セレンを与えることは蹄にも良いように思われるが・・・・・
乾乳牛にセレン剤を注射したところ蹄疾患が増加したという報告があるそうだ。セレンを過剰に給与すると、セレンが角質のジスフィルド結合からシスチンを奪うので、蹄の堅牢性が維持できなくなる。そうだ。
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日高ではかつてセレン欠乏により新生児の白筋症が多発した。
カルシウムばかりを馬に与えたり、カルシウムばかりを採草地に施肥したりしていたこともセレニウム不足を助長した。
今は、セレンが飼料添加されるようになり、また輸入飼料の増加により白筋症はほとんどなくなった。
しかし、OCD(離断性骨軟骨症)や腱拘縮は今も問題になっている。
OCDには、亜鉛や銅といった微量ミネラル欠乏が要因になることが知られている。
マンガンもプロテオグリカンの合成に関連しているのなら、亜鉛、銅、マンガンといった微量ミネラルが欠乏していないか、バランスよく給与されているか、軽種馬生産地でも調べてみる必要があるかもしれない。
血清で調べられるのか、被毛中で調べればよいのか、あるいは蹄で調べなければいけないのか、基礎研究がかなり必要なのだろうが・・・・・・・強い馬づくりのために大事なことだろう。
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ミネラルの生体内の働き、面白いです。
微量とはいうものの、なくてはならない物質で、他の物では代用できないものなのですね。
私も、散歩に連れ出した乗馬が、赤土を必死の様子でガジガジ食べるのを見たことがあります。
山形県出身のあるインストラクター(お父さんも博労さんだったそうです)から聞いた話では、その辺りでは馬に湖の底にたまったドロを食べさせるそうです。
そうすると毛艶がよくなって、馬が元気になるんだ、と自慢していました。
これらの話は、ミネラル分に関係ありそうだな…と思います。
(ヨタ話っぽいのばかりでどうもすみません。)
おじさんたちは経験的に夏に向けて体にためているんだろうっておっしゃってました。
水がたっぷりあるのに,コンクリの上に流れている尿を飲む牛がいるのも,そういったことからなんでしょうか。。
昔,知り合いの記者さんが,湖にいる白鳥にエサをあげると,湖底に落ちたエサを拾うのと一緒に,釣り針を飲み込んで死んでしまうんだ,と話してくれました。
白鳥を見るとついつい思い出してしまいます。
チャイコフスキーの「白鳥の湖」が頭の中をよぎったりして。。。?!
微量ミネラルも大事なんですね。私は学生時代、セレニウムやグルタチオンペルオキシダーゼを測定したりしていましたが、蹄にも関係しているとは知りませんでした。しかも、セレニウムを多めに給与すると、蹄病が増えるかもしれないとは!?
動物が土を食べるという話は良く聞きますね。いろいろな土を食べられるようにしてやるか、せめて鉱塩でも与えてやった方が良いのかも知れません。
湖の底の泥って、馬が食べますか?!
人や動物がミネラル不足を感じることができるかどうか興味があるところですね。塩分は感じますね。亜鉛や鉄分、その他のミネラルはどうなんでしょうか。妙に10円玉が舐めたい時は銅不足。なんていう人は感受性が強いのかも・・・・
釣り人が多い湖は釣り針で危険なのかもしれませんね。写真の白鳥がいるところも秋には鮭の密漁者で賑わうところです。針が沈んでいるでしょう。
釣りをする人も、鳥に餌を与える人も、多すぎると問題です。
母乳にはもともと少ないうえに、分娩後日数が立つにつれ、さらに減少すると、新生児学の参考書に書いてあったのを読んだことがあります。
「足りないなら、やっちゃえばいいやー」の、単純な考えから、離乳食以外に、生後一ヶ月くらいから、銅と亜鉛のシロップを、当歳指定量を毎日与えてます。
が・・・
正直、効果があるのかはイマイチ感触がありません。
おまけに、ウラに記載の適正量に疑問も感じます。
Foal:10ml・・・
授乳中、離乳食給餌時、離乳後、すべて条件が違う気がするんですけどね・・・。
適正量っていくつなんだろう???
ダムのヘドロは都会の海のヘドロと違い山の微量成分の沈査であると解釈してました
またヨタ話っぽくなって申し訳ありませんが、
テレビでアフリカのある部族は妊娠中、炭を食べる習慣があるというのを観ました。
人のミネラル補給に、関係ありそうな気もします。
馬術部にもボロ食いの馬がいて、塩のブロックをやってみると2日くらいで全部たべてしまい、全身塩を吹いたような皮膚炎になってしまったことがあります。
あの馬は実は土が食べたかったのでしょうか…どうでしょう???
銅と亜鉛のシロップ!そんなものがあるんですね。あれもこれもとやりすぎると過剰になりかねないので、含有量を知りたいところですね。
ダムのヘドロにはミネラルが豊富なんでしょうかね~。興味深いです。河川敷で育った馬は良く走る。などという伝説も残っていますから、川が栄養分を運ぶのでしょう。
ダムができて、川がコンクリートで固められて、洪水が起きなくなって・・・・・採草地の施肥を考えないと欠乏する成分がでてきたんでしょう。
馬に鉱塩をなめさせるのはどうか?とUSAの馬栄養学者に質問したことがあります。「ほとんどの馬は必要に応じて鉱塩をなめるが、中には食べ過ぎる馬がいて、そういう馬にはよくない。」という答えでした。
人でも塩分取りすぎの人は多いのでしょうから、自分で調節するのは難しいのかもしれませんね。人は亜鉛欠乏で味覚障害が起こるようですが、ヘンなものを食べたくなったりしないんでしょうかね?