【校合摺】

2020年1月23日
【校合摺】

馬琴の日記に表紙の校合摺(きょうごうずり)が届いたと書かれており、ああこれは現代でいう校正刷(こうせいずり)のことだなと思う。色版づくりのための墨摺りというより、彫り間違いがないか確かめる校正のためだろう。この頃の馬琴は視力を失って、亡き息子の嫁である瀧澤(土岐村)路(みち)による口述筆記で書いていた。校正もみちのたすけが必要だった。「こうごうずり」と読んでもいいらしい。

立川昭二『この生この死 江戸人の死生観』(現・『江戸人の生と死』ちくま文庫)を読み終えた。高度化した医療や薬がない江戸中期から末期の人びとが、「死もまた自然のひとつの出来事として自分でかたをつけて」いった記録を辿ったもの。
「[…]はたして江戸の病人と現代の病人とどちらが苦痛がひどかったのであろうか。また江戸の老人とこんにちの老人とどちらが幸せであったのであろうか。そして、死に顔はどちらに笑顔が多かったのであろうか」(「おわりに」より)

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