禅の心と入道雲

2017年9月26日
僕の寄り道――禅の心と入道雲


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由比の町を歩いていたら最明寺という寺があり、なんと寧一山による開山だという。別の名を一山一寧(いっさん いちねい)ともいうので、寧一山は「ねいいっさん」と読めばいいのだろうか。

寧一山は、二度の元寇に失敗したクビライが日本を属国化しようと画策して派遣した密偵だった。企みが露見して修善寺に幽閉されたあと、執権北条貞時に赦され、再建された建長寺、円覚寺、浄智寺の住職を経て京で南禅寺3世となるまで登りつめた人。生涯、正統臨済禅の興隆に尽力したという。

本堂前に置かれた長椅子に腰掛けさせてもらったら駿河湾と入道雲と幽閉されていた伊豆が見える。寧一山国士もこの景色を感慨深く見たに違いなく、心静かに禅を組んだつもりで座っていたら、誰もいないはずの背後でザザッザザッと音がした。

何だったのだろうと振り返ったら、寺の飼い犬が名を呼ばれて庫裏に引っ込むところだった。見慣れぬ男が境内にいるので何度か駆け寄って威嚇したものの、あまりに集中力のある気高い後ろ姿に気圧され、尻尾を巻いて退散したらしい。


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