電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
あれとこれと太閤検地
2012年6月27日
子どもの頃、親に
「あれはどうした」
と聞かれ
「あれとこれを交換した」
と答えながら交換したものを見せると、ひどく怒られることがあった。価値の釣り合わない馬鹿な交換をするなと怒っているのだけれど、子ども心に十分釣り合うと思ったから交換をしたわけで、価値の釣り合いというのは難しいものだなと思った。
大人になっても釣り合いをとるのは難しいようで、郷里清水で家具店の息子に生まれた友人が、高校時代の同級生と恋人同士になったが、親達によって結婚前に別れさせられたという。お姉さんにその理由を聞いたら、家具屋の息子と缶詰会社の娘では釣り合わないからだというのだけれど、家具屋も缶詰会社も立派な家柄なので、どう釣り合わなかったのかいまだにわからない。
埼玉県立歴史と民俗の博物館を見学していたら太閤検地の様子を描いた絵が展示されていた。
昔のことなのでさぞや入り組んだかたちの田んぼもあったと思われ、そういう田んぼの面積はどうやって測量したのだろうと不思議に思っていたが、その答えがここにあった。不定形の田んぼを包含するような矩形をつくり、田んぼではないので欠けた場所は「貸」、田んぼなのにはみ出してしまう部分は「遣」とし、あれとこれである「貸」と「遣」の釣り合いがとれる矩形がその田んぼの面積に相当するわけだ。検地帳には確定後の縦横寸法が記載されたという。
友だちと一杯飲みに出てはしごをすると
「前の店でご馳走になったからここは払わせて」
などと奢り奢られしている。酔っ払っていることもあって、必ずしも「貸」と「遣」が相殺されているとは限らないけれど、結局長い付き合いになっている友人というのは、いつのまにかあれとこれの釣り合いがとれている関係のような気もする。
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