【偽ボランティアの朝】

2020年6月16日

【偽ボランティアの朝】

秋になると六義園内から樹木の種子が風に乗って飛んで来る。掃除しながらふたつぶみつぶ拾っては植木鉢の隅に埋めてみるけれど発芽したことがない。種子の発芽にはコツがいるのだろうと思うけれど、公園の周りを注意深く見て歩くと、掃除の手の届かないゴミの吹き溜りで発芽したものを目にする。人が世話を焼いたりしない厳しい環境のほうが種子の発芽に適しているのかもしれない。

昨日も外出帰りに下を向いて歩いたら、歩道と側壁のすき間に小さなクヌギとイロハモミジが芽吹いていた。そのうち夏の草むしりで抜き取られてしまうにきまっているので、わが家のベランダで大事に育ててみたくなった。早起きの草むしりボランティアをよそおっていそいそ早朝に出掛け、よっこらしょとしゃがみこんで引き抜こうと思ったら、コンクリートの隙間に深く根を張っている。無理したら千切れそうなので断念した。人の善意を知らない植物もまた必死なのだ。

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