電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
◉森田正馬を読んで笑ったこと
2019年2月19日(火)
◉森田正馬を読んで笑ったこと
大好きな精神神経科医である森田正馬(もりたまさたけ、1874 - 1938)によると、病気をいたずらに気にしすぎるヒポコンドリー性基調の人は、自己内省が強く、心身の不快や異常など病的な兆候が細々と気になり、それに屈託するせいで卑屈になったり、陰鬱になったり、自己中心的になったりし、「ときには詩人や哲学者になる傾向がある」というので笑った。たしかに毎月哲学の読書会にやってくる仲間はみなヒポコンドリー性基調であるように見える。自分もそうだなあと可笑しい。
なぜ平気で可笑しいかと言うと、哲学好きの仲間はひどく陽気で楽しい仲間だからだ。「苦しみ」から目を離さず直視しようとする人たちには、心の底を割った底抜けの安寧があるので、同好の士ならすぐ仲良くなるし他人にやさしい。
ヒポコンドリー性基調の人に対して、陰気な話はよそう、楽しくやろう、人間いまが楽しければそれでいいではないかと、自分の望み通りになるようテーブルを叩いて働きかけるような人は、現実を追い、目的に向かって強引になり、軽率になってわれを忘れたりするので「軍人や政治家になる素質がある」というのでまた笑った。哲学好きの仲間がやっている読書会に通い始めたなどと言うと、面倒臭い人間を見るような目をして笑う友人たちは、たしかに軍人や政治家向きであるような気がする。
森田はもちろんヒポコンドリー性基調の人で、そういう人はときに精神神経科医になったりするのだろう。
(2019/02/19)
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