【眼を眠る】

 【眼を眠る】

漱石が選んだことばに仔猫のようにじゃれつくと楽しい。

「また眼を眠ってしまった」(『彼岸過迄』)という言い方も近代的な自我との葛藤に煩悶した人のことばとして味わい深い。意識と運動の輻輳。「眼を眠る」なら「口を話す」なのだろう。

南北朝時代(1336年〜1392年)の軍記物語である太平記に「虚空に向ひ目を眠り」に続けて「口に文呪したるに」がある。

室町から鎌倉へむかう、人が人を離れたように血生臭い自我の時代の表現であることが面白くてちょっとじゃれついてみた。ただ「生きる」でよいところを「人生を生きる」と言うことによって加わるのも、そのなにかだろう。

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