電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【かばん語】
2020年9月9日
【かばん語】
郷里静岡県清水では子どもが元気に遊びすぎてズボンの股が裂けたり縫い目がほつれて割れることを「さばける」と言った。びりっと音がしてお尻の部分が「さばける」と「けつんさばけた」、足を広げさせられると「股んさばける〜」などと笑い、大人たちが「あの人はさばけた人だ」と言うのを聞くとひどくおかしかった。
「さばける」は「さばく」と「さける」の混成語だろう。女性が座るとき着物の裾を、力士が蹲踞(そんきょ)するとき下がりを、両手で左右に分けることを「さばく」と言い、ひとつになっていたものがふたつに離れることを「さける」と言う。「さばく」と「さける」、ふたつの意味が合わさって「さばける」になっている。
たとえば「やぶける」は「やぶる」と「さける」との混成語で、英語では「portmanteau(かばん語)」と言う。旅行かばんのことで、ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』に語源がある。どうも清水では古い日本語表現が、少なくとも自分が子どもだった頃までは日常語として用いられる傾向が強かったようで、鬼ごっこをしても「とらえる」と「つかまる」の混成語で「とらまる」などと言っていた。
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