【ボンゴとビンゴとザブトンとダウト】

【ボンゴとビンゴとザブトンとダウト】

ふりかえれば人生のちょうど半分をマンション暮らししている。
 
なんで不意にそんなことを考えたのかというと、その四半世紀以上にわたるマンション暮らしの中で初めて同じ建物に住む方の葬儀に遭遇したからだ。というか同じ建物内で不幸があったことに初めて気付いただけかもしれなくて、マンションというのはそのように一軒家暮らしよりはるかに近い距離でありながら、隠すわけでなくても各家庭の事情が知れないようにたくさんの人が暮らしている。日曜日に葬儀の準備が始まり今日出棺があったのを家人が偶然見たという。2 基あるエレベーターのうちのひとつは奥の壁をはずすと長いものも収納できるのでそうしたのだろう。
 
マンションというのはそうやってひっそりと住人の姿が消えていくものかもしれない。

この日記を書いたりしているポケットに入る小さなコンピュータの内蔵リチウムイオン電池の寿命が尽きそうなので岡山県の業者に送って交換してもらった。電気製品は手をかければ何度でも生き返って再生する。
 
代金着払いで送り返してもらうことにしたので料金の 6,594 円を用意しようとしたら財布にちょうど 6,000 円分のお札があり、小銭入れを逆さにして中身をすべて手のひらに出したら 594 円しか入っていなかった。ぴったり 6,594 円しか持ち合わせていなかったわけで、こういう偶然は生まれて初めてだったのでびっくりした。ビンゴ!

ビンゴといえば、義父母がまだ元気に富山で二人暮らししていた頃、電動ビンゴゲームを買って行って遊んだことがあった。一列の数字が並んだらビンゴと叫ぶのだと教えたら、義父が
「ボンゴ!」
と叫ぶので
「おとうさん、ボンゴじゃなくてビンゴだよ」
と教えて大笑いしたのだけれど、その直後に義母も
「ボンゴ!」
と叫んで皆が呆れた。

脳科学者山鳥重(やまどり・あつし)が書かれた本を読んでいたら、筆者が生まれた兵庫県の田舎の言葉ではダ/ヂ/ヅ/デ/ドとザ/ジ/ズ/ゼ/ゾの区別がつかないそうで、

「ゾウキンと耳から聞いただけだと、ドウキンと聞こえる。実際にもドウキンと書く。」(山鳥重.『ヒトはなぜことばを使えるか 脳と心のふしぎ 』講談社)

のだという。秋田の知り合いがスリッパを『シリパ」と発音して「シリパ」と書いたのと同じだ。

「また、子供のころ、ザブトンというトランプゲームが好きだったが、あれがザブトンでなくダウトだと知ったのは、かなり大きくなってからだった。」(同書より)

富山の言葉に「ビ」と「ボ」が混乱するような音韻体系があるかどうかはわからない。

(閉鎖した電脳六義園通信所 2008 年 10 月 22日、13 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)

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