【仮(け)のおもしろさ】

2020年7月16日

【乃木坂から赤坂まで】

仮説は仏教用語で「けせつ」と読み、同様に仮設も「けせつ」だし、仮名は「けみょう」で、ついでに施設は「せせつ」なのだそうだ。「へぇ〜」である。

「時に別体なし、法に依りて仮立(けりゅう)す」「時は亦(ま)た仮名(けみょう)の称なり」、つまり時(time)は実体などなくて仮にそう名づけてそう呼ぶだけだ、というのは仏教学における時間論の常識で、「そう」決めて「そう」利用する。

人にとっての自他や生死と同じように、数学はそもそも自然数「1」の不思議を知らないし、幾何学はそもそも「点」の不思議を知らないので、そういう不思議に矛盾しない法(則)を仮立(けりゅう)して、その仮名(けみょう)を使って、新しい理論がその体系に矛盾しないかどうかを検証することで、次々に新たな学説を構築している。

哲学や倫理学や経済学も同じようなことを前提にしている。すべては無常であり、いっさいは空であり、原点となることばの階梯はクラウド上から天に向かってかけられている。ことばはあくまでも仮(け)なのだ。

写真は乃木坂から赤坂への道すがら。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 【乃木坂から... 【鶏と卵】 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。