【意味はどこへいったか】

【意味はどこへいったか】

まったく酒を飲めない友人が嬉しそうに飲み会に出てくるので、それで楽しいのですかと聞いたら、みんなが酒に酔ってだんだん呂律(ろれつ)が回らなくなり、話の内容が怪しくなっていくのを、横で観察しているのが面白いのだという。楽しみ方もいろいろだ。

自分が率先して酔っ払うタイプであるせいか、他人が酔っていく過程に気づいたことがない。谷川俊太郎の対談集を読んでいたら、ほとんど飲めないに等しい谷川さんは、奥さんと差し向かいで飲みながら、酔っていく彼女に付き合うのが苦痛なのだという。*対談は 1976 年のもの

シラフのときには聞けない妻の反応の中に、抑圧してきた彼女の本音があるように思い、一所懸命に聴いて答える努力をするのだけれど、翌朝になると彼女はぜんぜん覚えてないと言うのだという。

谷川「……ぼくはあのときに非常に真面目になってやったんだけれども、そういうことに一体意味があったんだろうかどうかってことが疑問になってきちゃう」(『人生相談 谷川俊太郎対談集』鶴見俊輔との対話より)

この話が母親の介護とからめて出てきたのがおもしろい。ふと鶴見俊輔の本のタイトル『読んだ本はどこへいったか』を思い出した。

2023/08/28 実生を世話しているイロハモミジ


NEW
20 音オルガニートで

『椰子の実 Yashi no Mi 』

『砂に消えた涙 Un buco nella sabbia 』

『花のささやき In un Fiore 』

を公開。

***

一般閲覧可能

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 【記憶と幸福】 【ああでもな... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。