【食堂の大滝秀治】

【食堂の大滝秀治】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 9 月 9 日の日記再掲

母の店の常連だった若者が、
「食べたいものを食べたいだけ食わしてやるんてうちへ来い」
と言うので遊びに行ったら JR 東海道本線を跨ぐ跨線橋『清水橋』下にある食堂だった。

橋の下になっている店内に入ると沢山のおかずが皿に盛られて硝子ケースに並んでおり、セルフサービスで好きなものを好きなだけとって食べるのであり、汗まみれの労働者で満員なので中学生だった僕はちょっと気圧された。その食堂はやがて中華料理店『らいみん』として商売替えし、橋の架け替えで旧東海道沿いに移転して『辻のらいみん』となり、ニンニク嫌いだった青年店主もすっかりラーメン屋のおっちゃんになっている。

9 月 5 日月曜日は入江地区のビン・かん・ペットボトル収集日だったので早起きしてゴミ出しし、清水駅 9 時 2 分発の東海 2 号に乗って帰京するため、清水駅に向かう。


DATA:Panasonic LUMIX DMC-FX8

ひどい雨降りだったので入江岡から新清水までひと駅静鉄電車に乗り、江尻船溜岸壁に行ったら何軒かある食堂は早朝から開店していた。

先週は『河岸食堂どんぶり君』に入ったので今回は『望月商店』に入ってみる。


写真:望月商店店内にて。反対側には船の模型がたくさん飾られている。

DATA:Panasonic LUMIX DMC-FX8

清水橋から波止場踏切を渡って江尻船溜の方へ歩く道沿いにも、かつては大衆食堂あった。

大衆食堂というのはある区画にまとまっていることが多く、当然店によって差があるはずなのに、どの店にもそこそこに客が入っており、それぞれに常連客がついているらしい。

写真上:注文の料理が出て来るまで清水おでんをつまむ。ちゃんと落下防止に串の先に小さなコンニャク片がついている正統派である。

写真下:焼き魚定食。

DATA:Panasonic LUMIX DMC-FX8

母が他界した翌日に駆けつた八十過ぎの伯母が、何のたとえか忘れたけれど面白いことを言っていた。
 
「旅行に行って大きな旅館に行くでしょう、トイレに行くと扉がずらっと並んでいるよね。どこに入ってもいいんだけど、ここと決めて入って用を足すと、次回も必ずその扉を開いちゃって、その旅館を出るまでずーーーーっと同じトイレに入るだよね。ねぇ不思議だ。人間というのはそういうものかもしれないよ」
 
わかったようでわからない不思議な話で笑ってしまったけれど、たくさんある大衆食堂の一軒に入って食事をしたら、人は毎日「ただいま」と言うように、同じ店の暖簾をくぐるのかもしれない。大衆食堂は選ぶことのできない、比べてはいけない、ひとつだけある「家庭」に似ているような気がする。

望月商店の朝ご飯はとても美味しかった。常連客が何人かいたが魚市場関係者らしい。

厨房の壁に誇らしげに1枚だけ色紙が貼られていて後光を放っているようであり、そこには「大滝秀治」と署名があった。ウーン、渋いけどとてもよく似合う。

【餃子倶楽部】

9 月 4 日日曜日、浜田町の『かしの木亭』に行ったら珍しく早じまいしており、餃子を食べたいと思ったら食べずにはいられないので入江岡跨線橋を下り、稚児橋を渡って江尻町の『餃子倶楽部』へ行った。

DATA:Panasonic LUMIX DMC-FX8

テレビ番組の取材中であり、若いオダックイ風の日本人と南米系(?)のガイジンが餃子やチャーハンやラーメンをバカ食いして対談していた。どこかで見たことがあるような無いような……。

撮影後ガイジンの方に嬉しそうに話しかける客が何人もいたので地元では有名人なのかもしれない。

 

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