【カボチャと枝豆】

【カボチャと枝豆】

午前中仕事をして近所で買い物の手伝いをし、日曜日なので義父母と一緒に食事をし、午後から散歩を兼ねてひとりぶらりと追加の買い物に出た。

この季節ハローウィンの飾り物と同じ色合いのカボチャが八百屋の店頭に華やぎを添えている。
昔は今のようにカットして切り口を見せた売り方は少なかったので、丸のままのカボチャを買って帰って切ってみたら「あまり美味しそうじゃない」などということもあったと思う。当時のカボチャの皮は固くて、よく煮えたカボチャの煮物でも皮を残して叱られたものだった。

子どもの頃は北海道産の野菜がまだ珍しくて、食べてみると本州産の野菜と一線を画する味がし、北海道産のカボチャを貰ったりすると「今まで食べていたカボチャは何だったのだろう」と思ったものだった。ジャガイモもトウモロコシも北海道産は何でもおいしかった。
 
今ではどこの産地のカボチャを買っても、皮が固くて水っぽくて甘みが少なくてスジの多いカボチャなどにあたることはなくなって、堂々と鮮やかな切り口を見せてラップフィルムをふんだんに使って売られているので、この季節の八百屋は秋色で華やいでいる。

カボチャには「ニッポンカボチャ」「セイヨウカボチャ」「ペポカボチャ」の三種類があるそうで、花屋の店頭で見かける奇妙な色やカタチのカボチャは「ペポカボチャ」であり別名「カザリカボチャ」とか「オモチャカボチャ」などと呼ばれている。この面白い色やカタチのカボチャが食べても面白い味だったらいいのに、と思うけれど「ペポカボチャ」は食べても美味しくないらしい。
 
新潟の友人からのメールで夕食に「金糸瓜(キンシウリ)」を食べたと書かれていた。じつは生まれて初めて「金糸瓜」を食べたのは新潟の朝市で買って当時富山に住んでいた両親への手みやげにしたのが最初で、もしかすると新潟という地域は「金糸瓜」をよく食べるのかもしれない。「金糸瓜」を切ると中から麺のようなものがたくさん出てきて、その形態から別名「ソウメンカボチャ」とも呼ばれ、これもペポカボチャの仲間なのだという。
 
カボチャが安くふんだんに店頭に並ぶと「ああ秋だな」と思うのだけれど、この時期になると急に郷里静岡県清水の枝豆「駒豆(こまめ)ちゃん」を店頭で見かけるようになる。初夏に店頭を賑わした「駒豆ちゃん」がふらりと舞い戻り季節が逆戻りしたような錯覚を一瞬覚える。他地域の枝豆が固くなったり虫がついたりして店頭から消えるのを待ちかねたように郷里の「駒豆ちゃん」が再び登場するのも、ハウス栽培ならではの特性を活かした戦略なのだろう。

(閉鎖した電脳六義園通信所 2008 年 10 月 19 日、13 年前の今日の日記より。)

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