秋に昇る

2017年9月26日
僕の寄り道――秋に昇る


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夏に何度かかよった由比の町で、一箇所まわり忘れたバス路線があるので、彼岸墓参りの帰りに寄ってみた。見上げるともう空が高い。

清水区由比西山寺。由比川北東岸に東山寺地区があり、南西岸阿僧地区を挟んだ西にに西山寺地区がある。由比川の西を流れる和瀬川水系の山あいにひらけた集落で、見事な石組みのある坂道に沿って立派な農家が並んでいる。

見るからに勤勉そうな人びとが作り上げた集落内を歩いていたら、高台へと登る急峻な石段があり、登った先にある西山神社の参道になっている。抜けるように青い空めざして垂直に近い上昇をしたら、集落内に警報を告げるスピーカーが設置されていた。

まさに地域を守る大切な場所になっており、この場所自体が崩落の危険と背中合わせになっている。昔から災害に対応する土木工事への出費が財政負担であり続ける由比であり、この神社にも度重なる改修があったと思われる。古そうな石灯籠の刻印を見たら天明年間(1782年-1788年)のものだった。

小さな祠(ほこら)脇からさらに高みへ上る道があるので登ってみたら頂上は四等三角点になっており、新しい防災用スピーカーの塔が設置されていた。このあたりからなら海辺の家々まで警報が届きそうだなと眺めると、笠を伏せたような陣笠山越しに駿河湾、その向こうに伊豆の山並み、そして相模湾上に湧き上がる入道雲が見えた。


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