目の前の靴


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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このところ、仕事で疲れていることもあり、連日電車で通勤している。
目的の駅で電車を降りて、エスカレーターに乗ると、僕の前に男性が立つ。
その人の靴が、言っちゃあ何だが見るからに酷いもので、つい目が行ってしまう。
1段か2段空けてエスカレーターに立つと、ちょうど目線の少し下の位置に靴がくるのだ。

明るめのブラウンの内羽根式ストレートチップなのだが、変なグラデーションの入った、見るからに安っぽいものだ。
しかもトゥが尖っている(笑)
服装にまったく合っていなくて(もっともどうすればあの靴に服を合わせられるのか分からないが)靴だけが目立ってしまう。

毎朝同じ電車の同じ乗車口を利用するので、どうしても同じメンバーと顔を合わせることになる。
その駅で降りるのも同じ顔触れで、大抵その男性がエスカレーターで僕の前に立つのだ。
するとその靴が僕の真正面にきて、嫌でも数秒間見なければならない。
その男性も、時には靴を変えればいいのに、毎日同じ靴を履いている。

実のところ、その男性の顔はまったく記憶にない。
しかしその靴は強烈に印象に残っている。
靴を見て、ああ、この人か・・と思うのである。
正確には「この人か」ではなくて、「この靴か」なのだが・・・

考えてみれば恐ろしい話である。
顔はほとんど見ていないのに、靴は覚えられてしまうのだ。
靴がその人を「象徴するもの」になっている。
しかもそれが悪い印象として記憶されてしまうのだ。

考えてみたのだが、昨日は仕事で取引先の販売員の人たち数人と会った。
初対面の人たち5人と会ったが、そのうち顔を覚えているのは2人だけである。
あとの人たちは、年代と性別くらいで、漠然としたイメージとしてしか思い出せない。
ところが靴に関しては、それぞれの人がどんなものを履いていたか覚えている(笑)

靴で人を覚えているのだ。
顔をじっと長い時間見るのは気が引けるが、靴なら問題ないこともある。
そもそもマスクをしているので、顔を見ても得られる情報は少ない。

当然自分も同じように人から見られている・・ということになる。(かな?)
やはり靴には手を抜けない・・ということである(笑)
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