小屋


Z7 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

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カブトムシが出る季節になってきた。
いつも梅雨が終わる頃になると出てくる。
まだ道端に落ちているのは見ないが、そろそろ飛んで来てもおかしくない。

工場に行くと、敷地内に鳥小屋のような木製の小さい箱が立っているのが見えた。
何だろうと思って近付くと、何年か前に僕が考案したカブトムシ捕獲装置であった。
その改良型が、外灯の下2箇所にしっかり設置されていた。

ちゃんと屋根まで付けた真新しい木製の木箱である。
見たところ、当初の設計からそれほど進化はしていないようだ。
ただ作りは凝っていて、入り口の穴の前後には、カブトムシが一度そこで考えられるように、足休めの板まで付けてある。
裏側には大きな蓋が付いており、中を覗くと虫ゼリーが一個入っていた。

作りなれた外観から、木工部門の社員が作ったものであることが分かった。
支柱の上に設置されているが、よく見るとそれは、手を消毒するアルコールを乗せる市販の足踏み式の台であった。
もっといいものを鉄工部門の社員が作ったので、購入したものはいらなくなったのだ。

しかし餌が虫ゼリーひとつ程度では、カブトムシが気付かないのではないか?
それに入り口の穴の大きさが微妙で、大きいカブトムシだと入れないかもしれない。
まあ中に餌があると思えば、無理してでも入り込むのだろうが・・・
なんて、初代設計者としては、細かいところに文句をつけたくなる(笑)

ちょっと手を加えて、カブトムシが集まりやすくしてやろうと考えた。
近所のスーパーに行き、日本酒の小瓶を買ってきた。
小屋の中にツナの空き缶を置き、そこに日本酒をたっぷり注いだ。
すぐに蒸発してしまわないように、缶の中にキッチンペーパーを敷いてお酒を染みこませた。
小屋の外にも匂いが広がるようにと、入り口の穴の周辺にも、手で日本酒を塗りつけておいた。

僕は子供の頃、父親と毎晩のようにカブトムシを採りに出かけた。
その時に気付いたのだが、森のそばにポツンとある酒屋の外灯の下には、いつ行ってもカブトムシが落ちていた。
店の前にお酒の自動販売機があり、辺りではプンと日本酒の甘い香りがした。
それに釣られてカブトムシが飛んでくるのは明らかであった。

もちろん腐ったフルーツなど置けば、たちまち多くのカブトムシが集まるだろう。
しかし周辺の臭いも酷いものになる。
そこで日本酒でおびき寄せることを考えたのだ。

その翌日、僕の方は日本酒を置いたことはすっかり忘れていた。
しかし社員から文句を言われた。
僕が置いた日本酒のせいで、羽アリなどの小さい虫ががたくさん集まってしまい、小屋の辺りが大変な事になっていたというのだ。

そうか、考えてみたら他の虫も集まってしまうのだ。
入り口にまでお酒を擦り付けてしまったものな・・・
日本酒の効果は十分のようで、裏蓋を開けるとプンとお酒の臭いがするという。
しかしまだ少し早かったのか、カブトムシは1匹も入っていなかった。
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