洪水


Z7 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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ドイツやベルギーで洪水が発生し犠牲者が出た。
その後は中国でも大規模な洪水が起きている。
ご存知の通り、日本では熱海で土石流が発生し、多くの命が失われた。
こういう自然災害は日本が多い印象があるが、実際にはヨーロッパも水害との戦いの歴史であり、過去に大きな洪水が何度か起きている。

今回ドイツの災害が個人的に気になったのは、ケルン郊外で発生したと聞いたからである。
ご存知の通り、以前僕は2年に1度ケルンに出張していた。
大きな国際見本市会場があり、定期的に展示会が開かれるのだ。
現地の様子もよく分かっているので、そこで水害が発生したと聞くと他人事ではなかった。

もっとも僕が行くのは、もっぱらケルンの町の中心部周辺である。
どこまでも平地で、今回の水害の映像に見られるような山岳地帯ではない。
滞在中は街中で過ごし、郊外に行くことはない。
展示会に出品するメーカーの人たちは、長期滞在しなければならず、町の中央のホテルは高額なので、郊外に宿泊することはあるようだが・・・

前回行った時には、会場に入る際に入り口で厳しいボディチェックがあった。
移民を多く受け入れて治安が悪化しており、テロなどの可能性もあったからだ。
実際に数年前に現地で暴動が起きており、神経質になっていたのだ。

ところがその後、新型コロナの問題が発生して、結局今年の展示会は中止になり、オンラインでの開催となった。
観光地でもあるので、コロナ騒ぎで収入は大幅に減ったであろう。
そこに今回の洪水の発生と、踏んだり蹴ったりである。

一方新型コロナの影響でしばらく行っていないが、以前は年数回九州にも出張していた。
九州もこの数年で急激に自然災害が多くなった印象がある。
昨年だったか、展示会の当日に大雨で交通機関が止まってしまったこともあった。
知人が開催前日に現地に連絡したら、会場の外が洪水になっており、もう避難しないと帰れなくなる・・と言われたという。

以前は現地の人たちはけっこうのんびりしており、ここは安全だから・・という台詞を何度か聞いた。
しかし現在は激しい雨の降る回数が多くなり、時に線状降水帯が発生して大きな被害が出ることもある。
そこに地震や火山の噴火なども加わり、今や日本の中でも自然災害の多い地域になりつつある。

洪水に関しては、やはり温暖化の影響だという説が有力である。
日本にしてもヨーロッパにしても、そして恐らく中国に関しても、温暖化が災害発生の引き金になっているという。
地球規模で気候が変わってきたのだ。

本当に温暖化が原因だとして、我々は急激にその被害を現実に蒙るようになった。
もう少し時間をかけて変動が進むと聞いていたが、予測が外れたといっていいだろう。
数十年後にこうなる、という話が、いきなり毎年のように発生するような状況になってしまった。

展示会は世界中から大勢の人が見に来るので、何よりも安全であることが開催地の条件となる。
また開催には時間とお金がかかるので、そもそも安定した環境がないと実施できない。
そういう前提で選ばれたであろう場所のはずが、急激な気候変動がその土地の評価を変えつつある。

コロナが収まれば、現地ではまたもとのように展示会を開催しようとするだろう。
しかし新型コロナの影響で、人が大勢集まること自体が非常識と言われる時代となった。
気候の変動と時代の変動の両方の影響により、様々な常識が覆ってしまったのだ。
もうかつてのようなやり方に戻すのは難しいのではないかと、個人的には感じている。
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