長い一日


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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この大雨の中、どうしても埼玉の先の方まで、電車で行かなければならなかった。
台風の影響で、縦に延々と延びた雨雲に沿っての移動だ。
何とかなるだろう・・と思っていたが甘かった。

朝早めに出て、乗り換えの駅まで行くと、電車がまともに動いていないことがわかった。
聞くと線路が冠水して、途中の駅までしか行けないという。
そこまでで電車は折り返し運転をしているという。

目的地はもっと先だったので、どうするか考えたが、仕事の都合でどうしても行かなければならない。
思い切って、ホームに入ってきた各駅停車の電車に乗ってしまった。
判断は難しいが、とにかく行けるところまで行こうと考えた。

電車が折り返す駅に到着したが、そこから先に行く手段が無い。
駅の喫茶店に入り、朝食のパンを食べながら考えた。
ここからはタクシーしかあるまい。

しかしタクシー乗り場は長蛇の列。
しかも道はほとんど動いていないようで、滅多にタクシーが来ない。
とりあえずは並んだが、雨も強く降っていて、段々と身体が冷えて傘を持つ手が痺れてきた。

よほど上りの電車に乗って引き返そうかと考えたが、どうやら上りの電車もほとんど動いていないようだ。
駅は人が溢れ出し、そのうち入場制限まで始めた。
こうなると、腹をくくって先に進むしかない。

タクシー乗り場で2時間ほど待ち、やっと自分の順番がきた。
ハイブリッド車のタクシーに乗り、目的地を告げた。
駅前は大渋滞で、ロータリーから出るだけで10分以上かかった。

国道に出てもほとんど動いておらず、止まっている時間のほうが長い。
信号が何度か変わってもその場を動かない。
目的地はかなり遠いので、途方に暮れてきた。

国道から脇道に逸れれば・・と思うが、脇道はほとんどすべて冠水している。
国道が一段高くなっているようで、両脇の住宅街の細い道には水面が見える。
ボディの半分くらいまで水没して、脇道に乗り捨てられた乗用車を何台も見た。
あれって全損だよなあ・・損害はいくらになるのかなあ・・などと考えた。
住民の損失を考えても、これは異常事態といえるだろう。

身体が冷えていたこともあり、暖かいタクシーの中でグッスリ寝てしまった。
ハッと起きると、まだ大して進んでいない。
時計を見ると、かなりの時間が過ぎているのに・・・

やっと目的地に着いたときは、すでにお昼を過ぎていた。
朝6時に出発したので、6時間以上かかったことになる。
遅刻を謝ったが、逆によくぞここまで来たものだと言われた。
あちらも今日は出勤できない人が大勢いるという。

夕刻、仕事を終え、最寄の駅まで送ってもらった。
ところがあちこちの道路が冠水して通行止めになっている。
どうも午後になってさらに水位が増したらしい。
唯一大丈夫な国道は、例によって車が集中し、大渋滞になっている。

何度か脇道に逸れようとしたが、水溜りが乗用車では通れない深さになっていて、やむなくUターンして戻った。
素直に渋滞に並ぶしかなさそうだ。
1時間以上かかりやっと駅に到着すると、上りの電車は復旧したばかりだそうで、なかなかやってこない。
しかもやっと乗った電車は、駅に着くたびにしばらく停車する。

結局帰りは3時間ほどかかった。
本来なら1時間ほどで到着する場所である。
今日は移動だけで10時間近くかかったことになる。
本当に長い一日であった。
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