COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
犬の好む靴
D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2
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犬の好む靴・・というのがあるらしい。
玄関に沢山ある靴のうち、犬がくわえて持っていってしまうものが、どうも決まっているらしい。
犬がかじってしまったので修理して欲しい、とお客さんが持ってくる靴は、大抵エドワード・グリーンだという。
それも、旧型の古いグリーンに限られているという。
一回や二回ではなく、何人かから、犬の歯形のある古いグリーンの修理の依頼を受けているという。
犬の好む何かが、内部に使われているのではないか、という。
そういえば、エドワード・グリーンには、甘いいい香りのするソールが付いたものがある・・と誰かが言っていた。
靴の修理屋さんで聞いた話だ。
宮城興業カスタムメードのMD-12。
アッパーはコードヴァンのブラウン。
サイズは25.5のE。
以下、オーダーシートに記載される順に仕様を書く。
腰裏No.は「#602BG」(ベージュ)。
中底リブは「ダブル巻」。
ウェルトの種類はストーム」、色は「濃茶」。
底材料は革底で厚みは「W厚底」、「基本溝切」、種類は「Rocca」。
ヒール周りはMDシリーズの場合ボード+トーマスヒールとなりオプションは選択不可。
出し縫い糸は「茶」。
コバ形状は「平」、色は「濃茶」。
革底マークはなし。
靴紐は「丸」の「ベージュ」にした。
のせ甲などのオプションはなし。
以上のように、セミオーダーとはいえ様々なオプションが選択できて、完全に自分オリジナルの靴を作ることが出来る。
コードヴァンのオプション価格が一気に上がる、という話を聞き、期限ギリギリにオーダーしたものだ。
ところがオーダーが殺到したそうで、通常1ヶ月の納期が大幅に延びた。
6月後半に注文を入れて、完成は9月初めであった。
連絡を受けた時、延びるのは構わないから、じっくり作って欲しいとお願いした。
時間がかかった大きな理由は、素材の日本製コードヴァン自体が入荷しなくなってしまったことだという。
今でも少数がポロリ、ポロリと入荷する程度のようだ。
そのため現在は素材にコードヴァンを選ぶオプションの受付は一時停止している。
慌ててオーダーしてよかったと言えそうだ。
MDシリーズは、オブリックラストを使用した特殊な形状のシリーズだ。
その中でもMD-12は、ご覧のように変り種と言える。
低く地を這うようなデザインのモンキーシューズ。
その面白い外観から、いつかオーダーしたいと思っていた。
あまり見ない形なので、コードヴァンと組み合わせるのは相当面白いだろうと考えた。
MDシリーズは、足の幅が広いと少々不恰好になる。
以前MD-09をオイルレザーで作ったことがあるが、2Eとしたためかなり特異な風貌となった。
それはそれで面白いのだが、今回はスマートさを優先させて、あえて幅を狭めてEにしてもらった。
そのため写真の通り、なかなかバランスのいいスタイルとなった。
MDシリーズは、もともと幅に余裕のある形状のため、ワイズは少し狭めに作ってちょうどいいかもしれない。
革底は、オプションでイタリア・ボルピー社のRoccaを選んだ。
欧州の多くのブランドが選んでいる革底だそうで、4ヶ月もかけてチェスナットでタンニンした特殊な革が使われている。
色も独特で、少しくすんだブラウンになっている。
コードヴァンは雨の日には履けないので、革底にいいものを付けるのは理に適っている。
靴紐は宮城興業へのオーダー時は、とりあえず丸のベージュを選んだ。
出来上がってみると今ひとつだったので、早速ネットで平のダークブラウンの紐を注文した。(下の写真)
紐のマッチングは、実際に組み合わせてみないとわからないが、後から簡単に交換できるので、それほど神経質にならなくていいだろう。
素材は新喜皮革製の水染めコードヴァンと思われるが、ホーウィン製とはまた違う独自の魅力を感じる。
いや、むしろ最近の質の落ちたホーウィン製コードバンより高品質に感じる。
確かにホーウィンには荒々しい迫力があるが、水染めのほうが表面の均一性が高く繊細感がある。
よく言われるが、油絵と水彩画の違いを感じさせるものだ。
ご覧のように、極めていい素材である。
それを宮城興業ならではの精密な作りと組み合わせることで、一種独特のエネルギーを発しており、思わず見入ってしまう。
まさに革製品としての魅力に満ち溢れた靴といえる。
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