指先


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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靴にクリームを塗るための、専用の小さいブラシが売っている。
そのブラシでクリームを要所に塗布し、それから布や大きいブラシで延ばす。
雑誌の記事を見ても、そのやり方がスタンダードのようだ。
ところがプロに磨いてもらうと、自分の指先にクリームを付けて、直に塗り込む人が多い。

僕も最近は、指でクリームを塗るようになった。
やり出すと、このやり方の方がずっと優れていることがわかってきた。
クリームもよく延びるし、指先を通じて革の状態も伝わってくる。
靴とのコンタクトが取れるのだ。
案外直接指を使うのは、靴磨きの大きなポイントかもしれない。

当然指先は汚れてしまう。
黒や茶といった色の付いたクリームを塗った後は、手をよく洗わなければならない。
よく洗っても完全には取れない(笑)
爪にまでクリームが入ってしまい、酷いことになる。
僕は子供の頃からものを作るのが好きだったので、手を汚すのは何とも思わないが、普通の人は気にするだろう。
これが嫌で、みな専用ブラシを使うのだ。

しかしそれでも、靴磨きに自分の指を使うのは、非常に有効な手段であると思う。
指先の柔らかさと、多分体温の暖かさが、革にクリームを塗るのにちょうどいいのだ。
それ以降の工程、すなわち鏡面仕上げでは、指の表面よりさらにきめ細かいもので磨く必要がある。
そのため、指先に綿ネルなどを硬く巻きつけて磨く。
いずれにしても、靴磨きというのは、靴の表面の質感を、直に「感じる」ことが重要である。
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