漏洩


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

大きな画像

情報流出が騒がれている。
今後導入されるマイナンバー制度もそうだが、ネットワーク上にデータを載せて、流出の可能性がゼロなんていうことが、本当にあり得るのだろうか?

人間が作ったものである以上、必ず内部の構造を完全に把握している人がどこかにいる。
それは当たり前のことだ。
全能のロボットが人類をコントロールしているわけではないのだ。

大きな仕組みであればなおさら、改良、メンテナンスなど運用していく要員が必要だ。
かなりの人数の人たちが、内部の構造を「熟知」していなければならない。
その気になれば内部を覗くことのできる人が大勢いるはずだ。
そうでなければ、仕組みとして成り立たない。

もちろん、外部から侵入を試みる輩は後を絶たないだろう。
それなりの才能を持ち、かつ倫理観には乏しい人間ならば、障壁を打ち破り情報を盗み取ってみせることで、自分の優秀さを見せ付けてやりたい誘惑に駆られるだろう。
実際にそういう事件が世の中で頻発しているのはご存知の通りだ。

それは外部からの侵入による漏洩であるが、気になるのは内部での漏洩である。
重要情報にアクセスすることが可能な人は、内部にかなりの人数いるはずである。
もちろん閲覧の記録は常に残し、誰が閲覧したか特定できる仕組みにはなっているだろう。

だがそのセキュリティの仕組みとて、人間が作ったものである。
仕組みを作るほどの技術を持つ人なら、証拠を残さずに、内部のデータを見る事は可能なのではないか?
そういう高度な能力を持った技術者が、何人かはいるはずである。
問題はそこに悪意が加わった時である。
そんなことはあり得ない・・というが、実際にUSBに落として情報を売り払う人が出ているのだ。

以前知人から、隣家の主婦が市役所で働いているので、行きにくくて困っている、という話を聞いたことがある。
書類を申請しに行くと、その隣人の手から受け取ることになる。
もちろん秘守義務はあるから、情報が漏れるというわけではない。
しかし年金、子供の進学、家族の病気・・といった、あまり近所には話したくない問題が、すべて筒抜けになってしまう。
誰にも言わないから大丈夫・・でも頭の中では知っていますよ・・の世界になってしまうのだ。

人間が管理する以上、どんなに規則を作っても、ミスやトラブルは起こる。
かといって、完全に機械に人類を管理させる・・というわけにもいくまい。
すべての人間に番号をふって管理できれば、これほど合理的なことは無い・・と考えたくなるのはわかるのだが、実は人間というのは、非常に不合理な生き物である。
すべてを管理する、という発想自体が、実は間違った考え方なのかもしれない。
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