雪の日


D800E + AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED

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ベルギーから来たメーカーの営業と話した。
銀座のホテルに泊まっているという。
東京駅から近くて、地方の得意先を回るのに便利だからというが、夜飲み歩くのに最高の場所ということもあるのだろう。
故郷のベルギー料理を出すバーも近くにあるようだ。

来るやいなや、ニューカーにしたね・・とつぶやいた。
庭に置いてあった僕の車を見たのだ。
車に詳しいので、1シリーズを買い替えたことにすぐに気付いたのだ。
会社で気付いた人はほとんどいないのに・・・(笑)

旧型と比べてどうか、かなり細かいことまで質問された。
ヨーロッパから来る人を見ていると、男女問わず多くの人が、車に対して驚くほどの知識を持っている。
いまだに、吹っ飛ばして走ることに、喜びを見出す生活をしているのだ(笑)

先ほどまでの雨が、雪に変わりつつある。
寒い一日である。
早速仕事の話に入った。

たとえば製品を作る際に、高級なクラスのもの、中級クラスのもの、下級クラスのもの・・というように分類したとする。
そのうち高級と下級は売れるが、中級が売れることは無いという。
これは多くの国で同じ現象が出るのだそうだ。

一方で人々の収入を見てみると、上と下に偏っているわけではなく、中流層もちゃんといるのだ。
「私自身が中流クラスだから・・・」
そう言いながら彼は説明を続けた。

人が物を買う際、少しお金を足して、高級なものを買うか、あるいは割り切って、一番安いものを買うか、そのどちらかに偏りがちになる。
分相応だからと、真ん中のものを選ぶ人は少ない・・ということだ。

一点豪華主義で、少し無理していいものを買った場合、心が高揚してわくわくする。
また安いもので済ませた場合は、得をしたからとそれなりの満足感を得る。
しかし中途半端なものを買うと、どっちつかずで面白みがなく、結果として不満が残る。

今は物が溢れているから、実用性だけを求めて、物を買う人は少ない。
重要なのは精神的な満足度であり、それが得られなければ、買い物をする意味は半減する。
・・・とまあ、そういうメカニズムかもしれない。

だから君のところは付加価値のある高級品でいくべきだ・・と彼は言う。
安いものは他に任せればいい。
いいものを作る技術力があるのなら、それで行かなくては・・・というアドバイスだ。
まあ、高級品だけ作っていて会社が成り立つのなら、それに越した事は無いのだが・・・

窓の外を見ると、雪が酷くなってきた。
車の上にも積もり始めている。
帰れるかどうか、少し心配になってきた。
昨日は暖かかったので、コートをホテルにおいてきてしまった・・・とベルギー人は震えながら言った。
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