COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
本紹介「紳士靴を嗜む」
SIGMA DP3Merrill
大きな画像
紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで | |
飯野 高広 | |
朝日新聞出版 |
今日はブログのアフィリエイト投稿機能を使ってみる。
「紳士靴を嗜(たしな)む」という本を紹介したい。
靴に関する本というのは、意外に少ない。
本屋で探してみると分かるが、通常サイズの本として売られているものが数冊、後は雑誌の特集や大型のムック本がある程度だ。
「紳士靴を嗜む」は、紳士靴の教科書というべき本で、帯には「入門書にして決定版!」と書かれているが、まさにその通りの内容である。
一見さり気ないのだが、見事にまとめられており、この本が1冊あれば、よほどのマニアでもない限り、他に教科書は必要ないだろう。
内容は、人の足の構造や疾患に始まり、靴の構造、靴の種類とその歴史的背景、靴の手入れ方法・・といった具合に、徹底して基礎的な知識についての解説である。
写真やイラストは最小限に止め、ただ「紳士靴とはどういうものか」について語ることに徹している。
各国の有名靴ブランドについての説明も、思い入れや神格化は廃し、それぞれ公平に数行で終わらせているのが面白い。
商業ベースの派手なカラー写真の並ぶ雑誌と対極にあるように感じた。
かといって退屈で硬い内容かというと、そんなことは一切無い。
全編柔らかい文章で書かれた、非常に読みやすい本である。
靴について何も知らなかった僕にとっては、次々に新鮮な知識を得られる楽しさがあり、最後まで飽きることなく読むことが出来た。
さらには、そのスタンダードな内容ゆえ、その後何度も読み返すことにもなった。
面白いことに、雑誌を読むと本能的な刺激から靴が欲しくなるが、この本を読むと知性が刺激されて靴が欲しくなる。
基礎的でありながら、本質を突いているのだ。
こういうのを、名著というのだろう。
「正統」とでもいうべき、偏りの無いフェアな内容であることが、この本の大きな価値といえる。
僕が興味のある、それぞれのタイプの靴が、どの場面までマナー違反にならずに履けるか・・について書かれた箇所は、繰り返し読んですぐに日常に役立てた。
皮革の種類に関する解説についても、知らなかった事が多く、時計ベルトの世界と重なる部分もあり、貴重な情報となった。
靴の手入れの方法に関しては、まず基礎的なことをこの本から得て、それ以降の、専門家ごとに異なる独自の方法に関しては、ネットから情報を得て自分なりに整理した。
そういう活用の仕方でいいのだと思う。
この数ヶ月、毎日この本をカバンの中に忍ばせて、時間があれば開いていた。
どこから読み始めても面白いのだ。
今でも、機会あるたびに読み返し、必要な知識を得たり、復習したりしている。
まさに教科書といえるだろう。
靴という趣味を始めたばかりの僕にとっては、この本の存在は大きい。
このブログで書いたことも、実はこの本の受け売りが多いのだ(笑)
一般の愛好家が必要とする知識は、ほぼここに揃っている。
逆にこれを知らずして靴の趣味に走っても、エンジンが動く原理を知らずにフェラーリを語るようなもので、底が浅いのがばれてしまう。
これだけの情報を集め、整理し、一冊の本にまとめるのには、かなりの時間と労力、それに何よりも経験が必要なはずだ。
これからこれを超える教科書を作るのは、かなり難しいのではないだろうか。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )