不埒なツバメ


SIGMA DP2Merrill

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駐車場のいつもの場所に車を停めておいた。
外出しようと車に近付いたら、車の屋根が酷いことになっている。
ボディのあちこちに、鳥のフンが落ちた白いシミが出来ているではないか。

ひとつやふたつなら、無視して走っていくところであるが、ルーフとボンネット全面に散らばっている。
数えてみると9ヶ所もあった。
思わず空を見上げた。
停めてからほんの2、3時間の間に、そんなに沢山の鳥のフンが落ちてくるなんてことがあるのだろうか?

仕方なく、トランクから雑巾を出してフンを拭い、蛇口のあるところまで行って雑巾を洗った。
それにしても、今までこんなことはなかったのに、なぜ急に・・・
このフンの数は尋常ではない。
誰かの嫌がらせのようにも見える。

離れたところから、しばらく車を監視していると、軒下に巣を作ったツバメが、盛んに車の付近を飛び交っていることがわかった。
巣から飛び立つ時に、僕の車の真上を高速で通過する。
ちょうど飛行のコースになっているようだ。

巣の下まで行き、中の様子を観察してみた。
エサを待つ4、5羽のヒナのもとに、虫をくわえた親鳥が頻繁に飛んでくる。
その度にヒナたちがギャーギャーと騒ぐ。

エサをもらったヒナの一羽が、突然巣の外に自分のお尻を出した。
そしておもむろにフンを排泄した。
いつもならそれが、巣の真下の地面にポトリと落ちる。
ところが、たまたま帰ってきた親鳥が、フンをヒナのお尻から直接口で受け取った。
それをくわえたまま飛び出し、あろうことか、僕の車の上まで持って行ってポトリと落としたではないか!

地面に近い低いところを飛び、グーンと上昇する時に爆撃機のようにフンを投下する。
それがかなりの確率で僕の車を直撃することがわかった。
巣の中を清潔に保つためなら、下に落ちるままにしておけばいいのに、わざわざ離れた僕の車のところまで持っていくのだ。
一体何を考えているのだろう。

まったく不埒なやつであるが、ふとある事に気付いた。
もしかすると、僕の車のフロントマスクのデザインが悪いのではないか。
旧型1シリーズは、目のつりあがったデザインのはしりの車といえる。
先日ドイツでも、業績不振に悩むメルセデスが、1シリーズのデザインを手本にしてコンパクトカーを作ったという話を聞いてきた。
ツバメはその目つきが気に入らなくて、僕の車を攻撃目標にしているのではないか。

鳥の心理に気付いた僕は、翌日から車を逆向きに駐車するようにした。
頭から突っ込み、お尻を手前側に向けて停めたのだ。
これだとずっと穏やかな顔つきになる。
ツバメがどう感じるか・・・
しばらくそのままにしておき、数時間後に車の様子を見に行った。

すると・・・
まったく効果なし。
哀れな僕の車は、12ヵ所もフンの直撃を受け、まるで白いペンキを降りかけたようになっていた。
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