酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

ジーコイズムの彼方にあるもの

2005-06-09 06:30:42 | スポーツ


 日本代表が2―0で北朝鮮に勝ち、他国に先駆けW杯出場を決めた。へそ曲がりゆえ、冷めた目で試合を見ていたが、チームの底力が窺えた内容だった。FW陣がゴールを決めたが、得点力不足は日本の永遠の課題かもしれない。高原は代表でもブンデスリーガでもひ弱さが目立つ。本格化は30過ぎで迎える2010年南アW杯か。スペインでインパクトを与えた大久保は、スーパーサブ的に使えば力を発揮しそうだ。

 別項でも書いたが、俺はジーコイズムを支持している。マスコミに「ジーコ解任」の文字が躍るたび、不快な気分を味わってきた。反ジーコの理由として、欧州組重視、戦術がない、指示を出さない、自由放任が過ぎるといった事柄が挙げられていた。トルシエを懐かしむ声には、日本人は結局、管理が恋しいのかと悲しくなった。

 厳しい管理や事細かい指示は、人の成長を止める……。これは俺の持論だし、殆どの方が同意されると思う。家庭であれ、学校であれ、職場であれ、トルシエ型の管理は、支配する側のエゴを満足させても、潜在能力を発揮させることは不可能だ。一方、ジーコ流ル-ズフィットは、チームを壊す危険性と同時に、プラスアルファを引き出す可能性を秘めている。柔軟な思考、自主性、チームスピリットが根付きつつある代表チームの現状を見る限り、ジーコイズムを肯定的に捉えざるをえない。

 99年ラグビーW杯を前に、平尾誠二監督(当時)は「日本社会はバブル崩壊で自信と元気を失くしてしまった。ラグビーは単なるスポーツだが、再生に向けた一つのモデルを示したい」と話していた。結果が伴わず、大言壮語と冷笑する向きもいたが、心意気は評価すべきだと思う。サッカーといえば、ラグビーと比較にならない注目度を誇っている。代表チームが本戦で活躍すれば、ジーコイズムは新たな方法論として認知されるだろう。

 W杯予選は世界で行われているが、南米で3位につけるエクアドルが面白い。標高2800㍍というホームの利を生かし、ブラジルに続いてアルゼンチンを破った。勝ち星(7)はすべてホームで、乗ってくると手が付けられないが、アウエーではからきしだらしない。不思議なチームである。

 お隣の韓国も4―0でクウェートを破り、W杯出場を決めた。朴主永という19歳の天才ストライカーが大活躍している。羨ましいのは、最高の理解者がいることだ。日韓大会で代表をベスト4に導いたPSVヒディンク監督である、李栄杓と朴智星を主軸に据え、チャンピオンズリーグでもミランを追い詰めた。朴主永もそのうちオランダに呼ばれるかもしれない。

 フランスは欧州4組で剣が峰に立たされている。抜け出すはずのアイルランドもお付き合いして、混戦に拍車が掛かっている。特筆すべきはウクライナの充実で、本戦出場はほぼ確実である。応援しているオランダも順当に勝ち点を増やしている。ファンバステン監督の起用法は「才能の先物買い」といえるもので、非情な独裁者というイメージを含め、ミラン時代の恩師サッキとオーバーラップしてしまう。

 オランダは9日未明(日本時間)のフィンランド戦でも4―0で圧勝したようだ。このまま本戦に出場出来れば、ひいき目ではなく、ブラジル、アルゼンチンと3強を形成するのではないか。
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