<3263> 写俳百句 (28) 冬薔薇
眼鏡の奥の心熱冬薔薇
冬薔薇(ふゆさうび)は寒薔薇(かんさうび)とも呼ばれる冬に咲くバラのこと。四季咲きのバラが冬に咲いている風情で、俳句では冬の季語である。暖かなころ咲く花は色鮮やかで幸せ感に満ち溢れ、バラの右に出る花はないほどの色合いを有し、咲き誇るが、寒さの厳しい中で咲く花は縮こまり、艶やかな花だけに、よりわびしく感じられる。こういう印象によって冬薔薇の花は受け止められている。
しかし、この冬枯れの庭に咲く冬のバラは、そうした侘しさを外見からは印象付けられるが、その花にズームインして、例えば、深紅のバラの内側に目をやると、外見にはない燠を思わせる秘めた熱情のような色合いをうかがうことが出来る。これも冬薔薇の一面と言えよう。それにしても、このバラの花のエネルギーは何処に発するのか、霜をも溶かす勢いに見える。