<3262> 写俳百句 (27) 真冬の到来
荒ぶ野に寒風なほも襲ふ日々
日本列島は西高東低の冬型気圧配置により真冬の感。北国では雪に閉じ込められた高速道の車の救出があった。我が大和地方ではこのところ寒風が吹き荒ぶ寒い日が続いている。すっかり枯れてしまった原野の草叢は容赦なく吹きつける寒風になお荒んで見える。歩いているとそんな草叢から一羽の小鳥が飛びして来た。緑と黄色の模様があり、アオジに違いない。風に流されながら向かいの雑木林に消えた。
草叢の枯れ果てた草々は、よく見ると、うらぶれた中にそれぞれがそれぞれの姿の中に種子を含んだ実を生らせているのがわかる。飛び立ったアオジは枯れ果てた草々の茂みによって寒風を避け、この草々の実を頂戴していたのだろう。「邪魔したな」という気になった。
枯れ果てた草々は自らの生を実に託し、なを宿命のごとく寒風に曝され、ますますうらぶれて行く。明日への夢を秘めた実は種を継ぐ役割を担って春を待つという次第。そして、寒風は自然のならいのごとく吹き荒び、実は寒風の日々を耐え、春を待って芽を出し、草々には再生を果たすということになる。 うらぶれし冬野がありて春野かな