大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2015年08月27日 | 写詩・写歌・写俳

<1351> 大和の山岳行 (13 )  観 音 峰

         トンボには トンボの命 赤トンボ

 今回は天川村の観音峰(一三四七メートル)の観音峰展望台(一二〇八メートル)までを往復した。観音峰は大峰山脈の支峰の一つで、天川村の川合から洞川に向って県道二十一号を走り、虻トンネルを抜けたすぐのところ、右手の駐車場が登山口になっている。

すぐ傍を紅葉の名所で知られる御手洗渓谷の上流に当たる山上川が流れ、その川に架かる吊り橋を渡り、上りの道を取ると、観音峰への登山道は一本道で、迷うことなく登れる。この峰は南北朝時代の秘話でも知られるところで、登山道は整備され、案内も見られ、登りやすい道になっている。上りの道をずっと辿れば、稲村ヶ岳登山道の法力峠に出合い、稲村ヶ岳の山上辻を経て山上ヶ岳に上り着き、大峯奥駈道に出合う。

         

 展望台の一帯はススキを主にした草原で、中央付近に「観音峯展望台」と書かれた石碑が建てられ、いつもここで折り返す。観音峰山頂までの三分の二ほどの距離にあり、展望台からは周囲が見渡せ、眺望がよいこともあって人気がある。この登山道は何回も歩いているので、勝手知った道ではあるが、展望台からの眺望は変化に富み、飽きることがない。また、歩く度に植生の発見があるのも楽しい山である。

 山上川は清流で、夏休みの最後を川に下りて楽しむ家族連れなども見られた。晴れ模様の天気だったが、展望台から眺める大峰山脈の尾根筋は雲に阻まれ見えなかった。登山道ではミカン科の多年草であるマツカゼソウ(松風草)が白い小さな四弁花を多数咲かせているのが見られ、群生しているところでは微かに甘酸っぱいような匂いが漂っていた。

            

 標高によるからか、展望台付近の草原では、ススキが穂を出しはじめているのも見られた。平野部では残暑の厳しい日だったようであるが、草原では赤トンボも飛び交い、通り行く風も涼しく、秋の感じがあった。今日の観音峰天望台への登山に当たっての印象は、夏秋同居が見られたことである。標高の高い尾根には秋が、麓の川はまだ夏模様で、水遊びに興じる家族づれの姿が見られたという次第。 

  写真は上段左から観音峰展望台から見る大峰山脈の眺望(雲に被われバリゴヤノ頭が少し見える程度だった)。次は穂を出し始めたススキ。右は山上川でゴムボートを浮かべ遊ぶ家族連れ。 下段の写真は左から観音峰展望台の石碑。群生して花を咲かせるマツカゼソウとマツカゼソウのアップ。右はススキの枯れた茎にとまる赤トンボ。