大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2015年08月23日 | 写詩・写歌・写俳

<1349> 新続々々々我が家の雨蛙

       猛る夏 だがそれぞれに 生きてゐる

 雨蛙のぷくぷくのお父さんは相変わらず二階のベランダ下を居場所に姿を見せている。やはり、雨模様の日は姿を消すが、晴天になると、どんなに暑い日でも居間の窓から見えるベランダ下の雨樋の上に鎮座しているのが見られる。今日は珍しく物干し竿に下りて来て朝からその上に乗っかっている。妻が洗濯ものを干すため、近づいても逃げる気配がない。弱っているのか、慣れているのか、目はしろくろさせているが、動かない。ときに風が通るので過しやすいのかも知れない。それでも喉元をぴくぴく動かしている。暑さの所為に違いない。のんびりしているようで、頑張って生きていると言えそうである。

          

 山側の方からはツクツクボウシの鳴くのが聞こえて来る。赤トンボは枯れ枝の先。ショウジヨウバッタは草いきれの中。マルハナバチは咲き始めた秋咲きのアザミの花にといった具合の今日このごろである。みんなそれぞれにこの夏を過し、生きている。これらの小さな生きものたちに触れていると、言葉を発する人間さまが実にかしましく思えて来る。ぷくぷくのお父さんなどは黙すること永遠のごとくまことに静かでやさしい。これも一つの生き方だと思われる。天道さまは気ままで、ここ二、三日涼しくなったと思っていたら、今日はまた暑くなった。それでも、夜はましで、虫の声も聞かれるようになった。今日は処暑。地蔵盆である。