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<今>の定義

<今>の定義

 そうか、これは時間なんだ。こんなにゆっくりと時間は経っていくけど、いつまでも終わらない。<今>は思い出なんです。

生田の雑誌

 追加の2冊:「FLASHスペシャル」「別冊カドカワ」は衝動買い。生田さんのブログで書かれていた。

 ネットだけに留めておくつもりだったが、ついにお金を使ってしまった。お金が自由になるのであれば、29日の名古屋ポートピアの握手会に行きたい。

 握手会というのは、かなりの重労働ですね。個別握手会だと、1時間半を5回行う。10時から20時まで。一人5秒で、1分で3人とすると、90分×3人×5部=1350人。26レーンで35000人がキャパですね。

名古屋へ行けない

 今日こそ、Iさんのスタバへ行くつもりだった。そのつもりで、朝、起きたけど、その日の私は動かなかった。

 どうにも名古屋へ行けない。起きたのに。着替えたのに。元町工場もやっていないので、道は空いているのに。何でなのか。その代わりに入力しようと思ったけど、それも中途半端。

全体主義での自由な言論

 ハンナ・アーレントは「全体主義社会において、自由な言論が供せられるのは、強制収容所野中だけ」と語った。強制収容所に入れられた人間はいずれ死ぬことになるので、何を考えようか、語ろうか、もはや自由である。

 全体主義は民主主義と大局的な政治原理に見えるけど、きわめて近い関係にある。民主主義では多数派の意見は少数派によって、抹殺する。

 沈黙の螺旋の理論のノエル・ノイバーはナチスにおいて、宣伝研究に従事した。つまり、ナチスの世論統制の方法論そのもの。

 こうなると、ミリオン座で上映が始まっている「アイヒマン・ショー」を見に行こうか。エルサレムで開かれたアイヒマンの裁判描いたものです。ハンナ・アーレントはこれで有名になった。これなら、Iさんに会うことはついでになる。

ヒットラーと原節子

 原節子は10代の時にドイツに渡り、ゲッペルスと合っている。だから、ヒットラーは知ってはいたんだ。

自由とは何かな

 表現の自由とか集会の自由というものがあるけど、本当の自由は国家からの自由じゃないのか。組織からの自由が平等を保障する。これは資本主義の根底が覆る。資本主義という枠では、自由と平等は相反するもの。

日本の歴史

 日本の歴史から学ぶものがあるのか。
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トレードオフ あちらを立てればこちらが立たぬ

『法と社会科学をつなぐ』より ⇒ 一番大きな問題は、自由と平等のトレードオフ。解決のために資本主義は前提としない。

○合理的選択の前提

 自分自身が何を望んでいるかを正確に知るのは、意外と難しい。例は何でも構わない。昼に何を食べたいか、どういう本を読みたいか、どの服を着て出かけたいか、どこへ旅行したいか、将来どういった仕事がしたいか……。

 意思決定理論を専門とするイツァーク・ギルボアの言を借りれば、合理的選択の礎石の一つは「できること」と「望んでいること」をはっきりと区別することにある。たとえば、手持ちのお金がいくらなのかという問題と、どういう食べ物が好きかという問題との間には論理的なつながりはない。「実現可能な選択肢」と「希望する選択肢」は別物であって、実現可能性によって好み(選好)が変わるのは「合理的」でない、ということである。

 だが実際には、「できること」と「望んでいること」とがいつでもすっぱりと切り分けられるわけではない。人間の心は往々にして両者を混同する。実現可能性と選好はしばしば密接に関連しており、特に、「できること」だけが「望んでいること」になるI「できないこと」が「望んでいないこと」に置き換えられる--ということも、本人が意識しているか否かにかかわらず起こりうる。

 どうして私たちは両者を混同することがあるのだろうか。

 第一に、人間の認知能力には限界がある。前記の合理的選択の枠組みに従うと、選好は実現可能性とは関係なく定まっているから、「望んでいるができないこと」がどこかに、しかも大量にあるはずである。しかし、「望んでいるができないこと」をいちいち考えるのは大変であり、そのようなことに思いをめぐらさなくても日常生活に支障はない。認知的な負荷を減らすためには、実現可能な選択肢だけに注目するのも一つの手である。ただしこの場合、選択肢の範囲によって選好も変わりがちになる。

 第二に、人間は自分を防御するための心理的メカニズムを備えている、という事情もある。普通「望んでいるができないこと」があるのは厭わしい。イソップ寓話「酸っぱいブドウ」の主人公のキツネは、自分の手の届かない高い場所にあるブドウをあきらめる際、「どうせこんなブドウは酸っぱいだろう」という捨て台詞を吐いた。これは、ジークムントーフロイトが「防衛機制」と呼び、レオン・フェスティンガーが「認知的不協和」と呼んだ現象の例になっている。自分の不快感を解消するために、選好のほうを変えてしまうのである。

 だいたいの人々にとって、合理的選択の前提となっている思考方法は必ずしも自然なものではない。普段とは異なる想像力を働かせ、自分を守るための事後的な「合理化」は避ける。

 これらだけでも大層な仕事だが、「望んでいること」を知るための道の途中には、さらに手強い関門がある。トレードオフの問題がそれである。

○どれかに決める=他を断つ

 トレードオフの関係とは、「両立しない関係」のことを指す。通常、ある利益を得ようとすれば、別の利益を犠牲にしなければならない。たとえば、引っ越しのアルバイトでお金を稼ごうとすると、同じ時間帯に勉強することは放棄せざるをえなくなる。トレードオフの関係においては、一方の目標値を上げると別の目標値は下がる。

 このトレードオフの概念は、法律家にとっては決して馴染みのない概念ではない。そう意識しているにせよいないにせよ、法律家は長らくトレードオフの問題と闘ってきている。もしかすると、他の分野に従事している人たちよりもずっと多様な種類のトレードオフの問題に悩まされてきたのかもしれない。裁判官は、原告と被告のどちらを勝たせるかというトレードオフに直面する。弁護士は、相手方に対してなしうる主張のうちのいずれを展開するかというトレードオフに直面する。

 法理論にもトレードオフは登場する。いわゆる「利益衡量」の考え方は、対立する諸利益を比較したうえでより大きい利益をもたらす選択肢を支持するアプローチであり、実質的にはトレードオフの話と同じである。不可侵の価値や通約不可能な価値を認めない限りは、事あるごとにトレードオフの関係とつきあうことになろう。

 そのように考えると、法制度の多くはトレードオフに対処するための試みと位置づけられる。特許法を例にして簡単に説明しておこう。特許法は、発明者の権利を保護することを通じ、発明へのインセンティブを人々に与える制度だ、と一般に言われる。すなわち、ただ乗りを禁じて発明による利益を発明者に帰属させるしくみである。発明に向けた活動が行われれば、発明者その人にとっても利益になるばかりでなく、産業の発展にも寄与するだろう。

 他方、特許権は一種の独占権であるから、それにより失われる利益もある。発明された物やアイディアを自由に利用できるという利益がまず失われるし、独占が起きている場合には価格がつり上げられるおそれもある。価格が上昇すると、競争的な市場では実現したはずの取引が実現しなくなり、その点で無駄が生じうる。

 特許法は、こうしたデメリットを承知のうえで発明者の権利を保護している。ただし、一方の利益のみを優先させるのではなく、存続期間を制限する、発明内容の公開を要求するなど、細かく利害を調整する規定がたくさんある。単純な二者択一として考えるのではなく、利害を細分化して対処しているわけだが、それゆえにトレードオフの問題は入れ子状に存在することになる。

 物事には良い面も悪い面もあるということにはくれぐれも注意すべきであるーーPか、実際のとろ私たちは、物事の良い面と悪い面を自分にとって都合良く見つけるのはむしろ得意である。

○社会の「望んでいること」

 法制度におけるトレードオフに言及しているうちに、いつの間にか「望んでいる」主体が個人ではなくなってしまった。ここで、いったい誰が望んでいるのかについて考えておきたい。

 前々項で出てきた法制度におけるトレードオフの場合、望んでいる主体は単なる個人ではなく立法者、あるいはより漠とした「社会」である。

 社会なるものが観念的存在にすぎないと考える立場をとるならば、社会が何かを望んでいるという言い方はせいぜい比喩である。社会が何かを望んでいるという表現が許されるとしても、社会が望んでいること(社会の選好)は個人が望んでいること(個人の選好)を基礎にして導き出されるはずである。

 伝統的な経済学では、個人の選好は次のような性質をもつものとされる。

 まず、つねに選択ができるためには、任意の二選択肢が比較可能でなければならない。どの選択肢のペアをとってきてもどちらがよいかを判断できる、という性質は「完備性」と呼ばれる。

 また、AよりもB、BよりもCがよい場合に、CよりもAがよいとするのは一貫した判断ではない。このような不整合がどの三選択肢に関しても生じない、という性質は「推移性」と呼ばれる。

 選好が完備性と推移性の双方を満たしているとき、各選択肢を自分の望んでいる順序で一直線に並べられる(複数の選択肢が同順位になってもよい)。順序が構成できればとりあえずは十分であり、各選択肢に数値を割り振る必要まではない。個人の選好が完備性と推移性を満たすべきだというのは、さほど無理な要求ではないだろう。

 では、個人の選好から社会の選好を導き出すにはどうすればよいか。完備性と推移性を満たした選好を社会について導出するのは可能なのだろうか。社会的選択理論と称される分野は、この難題をめぐり何十年にもわたって考察と議論を重ねてきた。

 社会的選択理論の知見によれば、社会の選好を整合的に導き出そうとすると困った事態が生じてしまう。たとえば、成り立って当然と思われるいくつかの仮定を置くだけで、独裁者の存在を認めざるをえなくなったり、選好を偽って表明するほうが得になる状況を生んだりする。つまり、社会的決定方式が備えるべき性質のどれかを諦めなければならないことを意味している。トレードオフの問題はこんな場所にも現れる。

 いずれにしても、社会が望んでいること(望ましいこと)を見出すのは容易ではない。個人の選好を基礎とする場合に、望ましさをどのように把捉するか。この論点は、次のテーマである「効率性」の話へとつながっていく。
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社会インフラモデル--「社会全体のコスト負担」

『2030年のIoT』より

IoTのビジネスモデルというと、調達から製造、保守まで長いプロセスを保有する製造業への注目度が高い。その反面、都市管理、交通、防災等、公的な分野については、社会インフラと直結しており、費用対効果が曖昧になりやすいこともあり、ビジネスモデルに関しての検討は、遅れているといわざるを得ない。

超長期では10兆個を超えるセンサーやビーコンが世界中の都市に設置され、人や車の動き、水やエネルギーの効率的な供給、安心・安全に大きく貢献するというのが、広くいわれるIoTに関するビジョンとなっているが、これはIoTから発想されたことではなく、むしろ2010年頃からのスマートシテイ構想を、IoT視点から再度取り上げたというほうが実態に近い。

これらの街作り、社会インフラモデルには以下の課題が指摘されている。

時間感覚と信頼性に対する相違

 ICTソリューションの多くが、早ければ1年以内に導入されるようなスケジュール感覚であり、導入に10年かかるような大規模システムの開発プロジェクトは非現実的とする見方が強い。

 「なぜなら、その間に、技術が古くなってしまう。今ある技術の導入に何年もかかるのは、どこかがおかしい」と考えるのに対して、街作りの視点で見れば、「都市計画においては10年を超える期間はごく一般的。場合によっては30年を想定するもの」となっており、両者の時間軸がすり合わせられない。

 都市計画とICTのそれぞれの専門家が同席したときに、ICTの専門家は都市計画のあまりの遅さに、都市計画の専門家はICTの速さというよりは、「いい加減さ」にあきれることが多い。

 加えて、自動車、エネルギー等人命や生活に直結している業種の安心・安全のマージン設定(導入までのテスト期間、評価手法等)に多くのICT専門家は理解すら及ばない。

 社会インフラや自動車の専門家からすれば、「(社会インフラは)ガレージのなかでチョコマカ作るものじゃないし、致命的なエラー等、あってはならない。ましてや発生したときにリセットする等許されるはずもない」となってしまう。両者、お互いに深い溝に無力感を感じて、話し合いをやめてしまいがちである。

行政の縦割りとICTの立ち位置

 加えて都市インフラの高度化とIoTの話が進展するにつれて、もう一つの問題が出てくる。それが「行政の縦割り」である。

 都市計画は本来、エネルギー、交通、上下水道、安心・安全等から構成されているものの、実態としては、それぞれを管理する公的機関は基本的に縦割りであり、予算も運営も独立している。相互の連携には、これ以上踏み込んではならないとされる歴史的な境界線があって、相互不可侵となっており、その境界線は厳密に守られている。

 ところがIoTの最大の便益は、それらの「縦割り」を横につないだときに発揮される。都市計画も本来は、そのように策定・運用されるべきであるが、実態としては縦割りのほうが横断運用よりもはるかに強力であり、都市管理の横断的な運用は、永遠の課題となっている。

 代表的な相互関係領域としては、自動車、鉄道等の交通機関、人の移動、警察等の交通管制等があげられる。

 都心部の交通規制、たとえばシンガポールの車両侵入規制や北米の動的な車道規制、そのための有料ゲート等を使った動的な通行料金システム等、道路と交通、関連する鉄道や防災時の対応等も、横断的なインフラ管理の代表例であり、交通信号の活用(車両台数計測や速度情報等)等も関連組織にまたがった課題といえる。

ビジネスモデルではなく、自治体モデルに突破口を

 ただ、近年、行政の縦割りに風穴を開けるようなアプローチが、一部の自治体で取り組まれていることには注目する必要がある。全国レペルで規制を見直すのではなく、首長が強い主導権を発揮することで、国に先んじてICTを活用した街作り、IoTの萌芽ともいうべき取り組みを先導する自治体もある。

 たとえば富山市の取り組みはビジネスモデルではなく、自治体モデルとして評価が高い。

 人口減少環境下での都市内交通を活用した都市機能の再編、スマートフォンを使った通勤・通学の安心・安全に向けた取り組み等、今、利用できるICTを活用しての意欲的な取り組みは、閉塞感を感じがちな縦割り行政対応についても、異なる可能性を感じさせるものがある。

 IoTの社会インフラヘの導入・活用についても、民間企業同様、強い主導権の存在が必要であり、全国的、包括的な取り組みではなく、エッジの利いた自治体にこそ期待できる点がある。

IoTエコポイント、社会インセンティブをめぐる議論

 突破口としての自治体アプローチを受けて、全国的なIoTの社会インフラヘの活用を考えるとしても、やはりIoTの特性である、導入に時間を要すること、当初のコスト負担と受益者のズレ、受益者の不明確さに留意する必要がある。ここを解決しないと、持続性、汎用性を有する施策とはなり得ない。

 特に社会インフラが子供服のように大きくなることを前提として構築されてきたという点には、注意が必要である。たとえば電力の場合、夏のピーク時に対応するため、現在の発電システムにおいては、重油や石炭等の火力による「上積み」の発電能力等、通常時には利用しない設備のコストが全体コストに含まれている。

 もちろん、電力サービスの品質維持のために必要とされているのだが、IoTの普及時には、電力需要の低下時に2次電池等へ蓄電し、需要集中時に放電することで、見かけ上、総発電量が減少する可能性がある。誤解を招く言い方だが、現在のスキームでは、電力事業者の売上は減少することになる。

 したがって、電力会社の経営者からすると、IoTへの投資は自社設備を効率化する反面、短期的には業績の低迷につながる可能性が無視できない。

 当然、長期的には環境負荷の軽減につながり、社会全体への貢献、電力会社自身の資産のスリム化にもつながるのだから、長期視点で経営されている日本の電力会社にとってIoTへの投資は受け入れ可能な選択肢となっている。

 しかし、欧米先進国の一部の電力会社経営者が、自分の代でIoTに投資しても、その果実は自分の後の経営者が享受し、自分がコスト負担による業績悪化の責任をとらされるのは嫌だと考えることも十分考えられる。

 全体最適化だとはわかっていても、経営者としての自分への見返りが少ないと判断されることで、投資や取り組みが、先送りされる可能性は否定できない。このような事態は電力等のピーク変動が大きいインフラには顕著に表れるものであり、交通等においても同様の懸念がある。

 結局のところ、長期的な全体最適化のために、短期的に発生するコスト負担と社会インフラ運営企業の短期的な業績低迷を、何らかの形で整合させないと、IoTの本格導入に向けた具体的な取り組みが進みにくい。

 この点については、公的な資金、もしくは税制等によるインセンティブを当てるべき、とする見方が検討されている。

 短期的な業績悪化につながっても、長期的な環境負荷軽減につながる投資、初期費用負担を、短期的な収益性とは切り離して推進するための公的なサポートとして、IoTインセンティブ(IoTエコポイント)、もしくは非IoT課徴金がEU等では検討されている。

 想定されることとしては、家庭向けでは、エネルギー負荷の高いエアコン、洗濯機、冷蔵庫、照明、テレビ等を対象に、IoT化を義務づける、もしくはセンサーやメーターと通信機能をユニットとして設置することを義務づけることである。

 対象機器の買い換え時に、IoT対応機器にポイントを付与する、もしくは非対応機器の購入については、一種の課徴金を徴収し、それをIoT対応化へのファンドとすることになる。

 もちろん、生活者視点では、家電製品の価格上昇につながるため、必ずしも歓迎されない見方もあるが、自動車の排ガス規制のように家電機器や住宅設備に対する規制の取り組みも検討すべき段階に達しつつある。
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自動車のIoT

『2030年のIoT』より

IoTの背景

 自動車分野でのIoT導入は、ITS(Intelligent Transport Systems)に代表される道路情報・運転支援と、自動車の電装化やハイブリッド化、電気自動車等の自動車の構造そのものから生じるニーズの2つの流れから取り組まれている。

 ITSに代表される自動車向け情報提供システム、運転支援や事故時の緊急通報等は、GPSによる自動車の位置情報把握から始まって、携帯電話等の無線通信ユニットが装備されることで、一段の飛躍をとげている。

 そのポイントとしては、車体等の物理的な車そのものの情報というよりは、車の運転状況(場所、速度等)に重点が置かれていることがあげられる。

 自動車の電装化、ハイブリッド車・電気自動車対応は、車内システムからのデータ収集を目的としたOBD(On-Board Diagnostics)ポート等、自動車の内部状況を把握できるようにするためのインターフェースが整備されたことで、自動車そのもの、いわば自動車の内側を管理するための仕組みとなっている。

 もちろん、GPSによる位置、移動状況とOBDによるエンジン状況は密接に関連しており、今後は両者を合わせたものがIoTの対象となると捉えられている。

 自動車は建設機械や農業機械同様に、故障予知や稼働状況管理のニーズを持つだけでなく、それらの機械以上に広範囲を高速で移動するため、より幅広い周辺状況の変化に対処する必要がある。

 渋滞(周辺の車両数と移動状況)、道路環境(道幅、降雨、舗装の有無)高速道路と一般道等の周辺環境変化によって運転にともなうリスクも変化するため、IoTへの要件もより広範囲かつ困難なものとなっている。

 また、自動車メーカーは、他の産業機械メーカーと同様、自社製品である自動車がどのように利用されているかについて、広範囲かつ精緻なデータの収集を、これまでも進めてきたが、IoTはさらに、その対象、範囲、精度を飛躍的に高めるためのツールとして位置づけられている。

 その標準化、利用技術動向等に強く注目すると同時に、他産業、特にICT産業による自動車産業への影響に警戒心を強めている。

IoTの構成

 自動車の電子部品、車内LANの高度化にともない、従来、車載ユニットとしてカーナビ等に外づけされていたIoT関連ユニットが、OBDに直結するIoTユニットヘ徐々にシフトしつつある。

 携帯電話をそのまま車内に設置するといったアドホックなアプローチもICT側からは増えており、現在では自動車に対するIoTユニットは多様化の一途をたどっている。

 ネットワークについては、有料道路ゲートや路側帯等の専用通信サービスもあるが、サービスエリアの広さ、伝送速度の速さ等から、携帯電話の利用が急速に存在感を強めている。

 また、データを収集する仕組み自体は、他産業と大きな違いはないが、位置情報を記録する機能が、他の産業に比較してより重要性が高く、システムやストレージヘの負荷となっている点に特徴がある。

IoTのアプリケーション

 ■運転情報・支援系

  当該車両の運転状況に関する情報(位置、速度、加速、燃料、タイヤ圧等)を収集、蓄積する。車両の利用状況を把握するための基本的なデータであり、自動車メーカーにとっては、極めて重要な位置づけとなる。

  たとえば、ハイブリッド車や電気自動車等、蓄電池が車両価値の多くを占める製品については、中古車価値算定において、蓄電池の利用履歴を把握しておくことは極めて重要であり、中古車ビジネスの展開においても有利な立場に立つことができる。

 ■交通情報系

  当該車両位置、道路混雑・周辺車両配置状況を把握する。一般的には渋滞情報は、外部から車両に提供されると考えがちであるが、広い道路網への渋滞検知の仕組み作りには多額の費用が必要となる。むしろ、街中を走る車両の運行状況から、当該道路における渋滞の有無を判別して、センター側に集約した情報で広域での渋滞情報を把握するほうが効率的となる場合も増えている。特に新興国における渋滞情報には、このボトムアップ型アプローチ(プローブ)を採用する例が増えている。

  東日本大震災の際にも、大手自動車メーカーが、道路の通行可否を、現地を走る自動車からの情報で判別して、走行可能な道路マップを作成して高い評価を得ている。

 ■運転支援・安全系

  自動停止ブレーキ、居眠り運転防止等、運転時のドライバー支援に関するセンサー等の管理を対象とする。現時点では映像認識が主であるが、ドライバーの体温や脈拍等を測定・監視する等の取り組みも開発されている。

 ■車両整備系

  OBDポート等、自動車の電装化に対応して、診断結果をデータとして取り出すための仕組み。これをネットワーク経由で外部へ蓄積、もしくは外部から照会、管理していくことが想定される。

  基本的には故障診断情報の提供であるが、車両の整備状況、故障予知等への発展が想定される。

 ■システム・安全系

  自動ブレーキシステム等、運転時のドライバーヘの安全支援ではなく、車の制御システム等、車載コンピュータやシステムに対する外部からのハッキングに対する防衛である。

  厳密にはIoTというよりも、IoTの防衛を目的とした周辺システムとなる。

  これまで、パソコンや携帯電話、通信ネットワーク機器等に導入されてきた侵入防止等の仕組みを自動車においても導入する必要に迫られつつある。

 ■マーケティング支援

  運転情報、道路情報、安全情報等の収集された情報にもとづく、自動車のマーケティング、販促に対する活用も想定される。

  最も単純なものとしては、運行距離等を把握して、オイル交換を提案する等であるが、車両の通行位置、運転速度等を収集することで、「ファミリー向けの車だが、夜、ガンガン運転しているドライバーが多い」場合、自動車の製品開発そのものへのフィードバックデータを収集できる。

  「後部座席の利用と週末のレジャー向けドライブ」から、その顧客の車の利用シーンを把握することで、自動車の買い換えタイミングをはかる(自動車の買い換えは、子供の成長に合わせて行われることが多いため)等、研究開発から、個別販促まで幅広い支援への応用が想定される。

IoT導入の課題

 自動車産業は、その製品特性上、広域の移動、人命リスクヘの関与、音楽や交通・地域コンテンツの活用、電気自動車等のパワートレイン移行等、多様なIoT関連ニーズを有しており、その課題も多岐にわたる。

 そのなかから、特に緊急度の高いテーマとしてテレマティクス活用の安全運転保険(以下、PHYD:Pay How You Drive)の導入をめぐる課題に注目する。

 これまでの自動車保険が、無事故履歴にもとづく料金割引等であることに対して、運転者がより安全な運転を行っていることをIoTで確認することで、運転者に有利な料金を提供する保険が、欧米で普及し始めている。

 IoTの役割は、急発進、急加速等の乱暴な運転の有無、危険な地域や時間帯の運転履歴の収集であり、それらのデータをもとに、運転者を保険会社がレイティングし、優良運転手に優遇料金を提示していくものである。

 代表的な企業としては、米国のプログレッシブ社があげられる。欧州等でも、このタイプの自動車保険は急速に普及しつつある。

 日本においても、国土交通省を中心に、PHYD導入に向けた検討が始まっており、データの収集方法、レイティングのガイドライン等が定められるとぞえられる。
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亀山学 亀山市情報化の経緯

『亀山学』より 亀山の情報発信 → シャープの亀山モデルの頃が絶頂だった。

亀山市のコンピューター活用は、昭和40年代後半の給与計算処理から始まり、昭和50年代になると、税金等のバッチ処理(大量一括処理)に利用されることが多くなった。 これらの処理作業は外部への業務委託でおこなわれていたが、事務事業の効率化のため、自庁処理の必要が生じてきた。そのため、1984年に業務システムが導入され、住民記録や税情報のシステム化をおこない、以降システム更新をおこないながら充実が図られてきた。

この経緯の中で、1999年には公式ウェブサイトが開設され、種々のシステムが稼動してきたが、システム間でそれらシステムが有する情報の共有化がなされないという課題が生じた。また、コンピューターの普及は時代とともに大きく進み、パソコンやインターネットの普及により、業務処理のみならず職員の一般事務にもコンピューターの活用と情報共有が必要となった。

これらの課題を解決し行政情報化を推進するため、また、1999年に策定された「亀山市行政改革大綱」の一つの手段として、行政情報化構想立案のためのワーキンググループが設置され、2000年6月に「「個」が輝くKAMEYAMA IT(アイ・ティー)PLAN--亀山市行政情報化構想--」(以下、「ITプラン」という。)が策定された。

このITプランに基づき、行政の情報化の取り組みがなされ、2001年度には、ダループウェアシステムの稼動、ISO運用システムの稼動、工事設計積算システムの稼動、総合保健福祉システムの稼動が実施された。また、2002年3月には、高度情報通信基盤の整備と地域情報ネットワークの構築を通じた「交流と協働による地域アイデンティティの創出」を理念とした「亀山・関地域テレトピア基本計画」が策定され、総務省テレトピア構想のモデル地域の指定を受けた。

2002年4月には、ケーブルテレビ会社(㈱ZTV)が、亀山・関地域でケーブルテレビ放送を開始し、これにより、ケーブルテレビによる多チャンネル放送や高速インターネット通信が利用できるようになった。なお、2003年1月には、行政情報番組「マイタウンかめやま」の試験放送が開始されている。また、同年度中には、例規検索システムの稼動、一人一台ノiソコンの配布、財務会計システムの稼動及び給食献立・栄養管理システムの稼動が実施された。

2003年度には、亀山市電子行政情報セキュリティポリシーを策定するとともに本庁インターネット接続の統合がおこなわれたほか、選挙受付システムの稼動、文書管理システムの稼動が実施された。 2004年度には、ケーブルテレビによる議会中継が開始され、内部情報提供システムによる共通使用様式の電子ファイル化がおこなわれた。また、2005年1月11日の市町合併に伴い、新たな総合住民情報システムが稼動し、各システムの利用やネットワータ網が拡大されるとともに、ケーブルテレビによる行政情報番組の放送が市全域に拡大された。

2005年度には、情報共有のためのファイルサーバの運用が開始されるとともに、図書館の図書のインターネット検索・予約が開始されたほか、各種申請書をウェブサイトからダウンロードできるようになった。2006年度には、メール配信システムが構築され、安心で安全なまちづくりの一環として「かめやま・安心めーる」の配信が開始された。また地域包括支援センターシステムが稼動し、督促状などのポステックス化かおこなわれ、県下市町の共同事業による電子地図作成に着手している。なお、同年度に副市長(当時は助役)を委員長とし、各部長級を委員とした「亀山市情報化推進委員会」が組織され、ITプランの総括評価がおこなわれた。同委員会による総括評価において、成果としては、「職員の意識や業務の執行が大きく変化した」、「情報基盤整備が概ね完了した」ことが挙げられ、課題としては、「ITを利用した市民との情報交流が不十分である」、「システム化できていないものがある」、「情報システム等の利活用に関する格差が生じている」ということが指摘された。

このような総括評価を受け、また、2007年3月に策定された、新亀山市「第1次総合計画」に掲げる「市民力で地域力を高めるまちづくり」の達成に寄与する基盤となるべく、次期情報化計画の策定に向け若手職員を中心とした情報化計画策定部会が組織され、2008年4月「亀山市地域カエンパワーメントプラン--亀山市汀戦略計画--」(以下「エンパワーメントプラン」という。)が策定された。

このエンパワーメントプランに基づき、2008年度には公式ウェブサイトのリニューアルがおこなわれたほか、紙戸籍の電子化が実施された。2009年度には、道路台帳のデジタル地図整備やCADシステムの運用が開始されるとともに、中学校のデワノヽリー給食システムの運用が開始され、また、議会中継のウェブサイトでの公開も開始された。 2010 年度には、数年をかけて作成が進められてきたデジタル市史が完成し、ウェブサイトにおいて公開された。 2011 年度には、前年度から準備を進めてきた、統合型地理情報システム(GIS)や新総合住民情報システムが稼動するとともに、県内市町で共同導入した工事積算システムの運用が開始された。

2012年度には、人事給与・庶務事務システムが導入され、また、昨今の防災に対する機運の高まりから、従来のメール配信システムに加え、緊急速報メール(エリアメール)の運用も開始された。 また、2011年度から2012年度にかけて、専門家、企業・団体代表、市民・NPO代表を委員とした「亀山市地域情報化アドバイザリー委員会」が開催され、情報政策の方向性に対する助言を基に、2013年度に「亀山市公式フェイスブックページ」の運用が開始され、新たな情報発信ツールを得たことにより、市の取り組みや行政情報のほか、市内のイベントや出来事などを広く発信するとともに、災害情報などの緊急情報についても迅速な情報提供を図ることができるようになった。

今後の情報化については、国が導入を進めている新たな悄報インフラである「社会保障・税番号制度」(マイナンバー)制度を址人限に利活用したシステムが想定されている。他にも、スマートデバイスの普及、クラウドの利活用、自治体によるオープンデータ、ピックデータ解析など、情報化をめぐる社会情勢を勘案しつつ、更なる亀山市の情報化への取り組みが計画されている。

亀山市では、第1次総合計画において、まちづくりの基本的な考え方を「市民力で地域力を高めるまちづくり」と掲げ、積極的に推進している。これは、行政や専門家だけが現在の社会的な課題を解決することには限界があり、今まさに住民との協働が必要とされているためであろう。しかし、良質な人のつながりが失われて無縁社会化する日本においては、地域コミュニティの機能が低下しているため、「コミュニティづくり」からやり直すことが肝要である。従来の自治会や婦人会とは違う、テーマ型のコミュニティも重要になろう。そこで、亀山市では、2012年度からの後期基本計画において、自立した地域コミュニティ活動を促進するため、自治会や地区コミュニティをはじめとした多様な主体による地域の包括的なしくみづくりに対する支援をさらに推進している。このときに、ICTの果たす役割に注目したい。関東ICT推進NPO連絡協議会の「魅力あるまちづくり事例集」では、ICTの利活用が子育てなど日常生活の話題からビジネスまで、思いもよらない人と人とをびつけ、まちづくりのツールとなっている事例が報告されている。ICTによる情報入手、情報交流、情報発信が、外部の発恕や意見を取り入れ、若者を引きつけ、場づくり・人づくりに役立つのである。

行政、事業主、市民のすべてが主体者となるALL亀山のまちづくりが果たされるために、市民を啓発し、コミュニティ活動によって共感の連鎖を生み出すような情報発信がなされることを願ってやまない。
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豊田市図書館の30冊

141.5『思考・論理・分析』「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践

379.9『家庭という学校』

336.3『スーパーボス』突出した人を見つけて育てる最強指導者の戦略

007.64『実践としてのプログラミング講座』

366『働くことの哲学』

323.14『憲法1人権』

323.14『憲法2統治』

235『図説 フランスの歴史』

141.5『思考停止という病』

336.3『リーダーシップ構造論』

222『中国文化55のキーワード』

210.1『図解 使える日本史』

133『現代思想史入門』

709.1『デジタル文化革命!』日本を再生する“文化力”

281.04『少女たちの明治維新』ふたつの文化を生きた30年

320.98『裁判官・非常識な判決48選』

778.21『原節子の真実』

104『存在と時間 哲学探究1』

686.21『新幹線開発百年史』

596『クックパッドの、料理がみちがえる神ワザ』すぐに試したくなる90の簡単&時短アイデア

498.3『日本人はもう55歳まで生きられない』少食が健康長寿のコツ

501.83『榮久庵憲司とデザインの世界』

493.74『依存症』ほどよい依存のすすめ

493.25『クスリを飲まずに、血圧を下げる方法』高血圧の名医が教える、クスリの安全な避け方

681.8『通勤の社会史』毎日5億人が通勤する理由

361.78『視覚都市の地政学』--まなざしとしての近代--

146.8『心理療法における終結と中断』

596.7『厳選日本茶手帖』

302.2『Chaina 2049』秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」知ればもっとおいしい! 食通の常識

019.5『子供の本がつなぐ希望の世界』イェラ・レップマンの平和への願い
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