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『トルストイ』の「戦争と平和」

未唯へ。あなたの愛読書はマンガですか? マンガも捨てたものではありません。先週、読んだ本の中に、『マンガで鍛える読書力』019.9モトというのもありました。この本によれば、生きていくのに必要な知識の全てはマンガから得られるようになっています。

今日は、『トルストイ』980.2フジを読んでいます。7月出版の680ページの新刊書です。

内容紹介:「戦争と平和」など壮麗な文学作品群、民衆教育への執念、真実の宗教を求めての教会権力との対決…。巨人・トルストイの82年の生涯を跡づけ、その人生や業績の全体像を描き出す。

トルストイに関して、意外な事実は以下の通りです。

・トルストイの3人の兄が通った、カザン大学の学長は非ユークリッド幾何学で有名なロバチェフスキーであった。ちなみに、3人とも「数学科」専攻です。
・トルストイもフランクリン手帳をつけていた。ルールを決めるのが好きだったみたいです。守れないから、好きだったのでしょう。私と一緒です。
・トルストイはカルカースに戦争に行った。長兄のニコライはカルカースとの戦いに明け暮れた。彼に付いて、戦場に出かけた。カルカースというのはチェチェンです。つまり、チェチェン戦争です。

「戦争と平和」に関して、私が好きな場面の説明があった。アンドレイがナターシャに魅かれる場面と、ピエールがナターシャに愛を告げる場面です。中学の読書感想文は、ピエールのつもりで書きました。

「枯れた老木、無邪気な少女、芽吹いた老木--この三つがひとつづきになって、アンドレイを生に連れもどした。かれはアウステルリッツではてしない高い空を見て、際限のない人間の偉大さという考えが錯覚だったことを直感する。しかし、今度は老木と少女によって、人生が無であり、無意味だという考えも錯覚だったことを直感する。生は何ものかによって与えられ、何ものかによって動かされている否定しようのない実態だ。しかも、それはたとえ小さくても、春の暖かさも、高い空も包みこむ生命全体に参加している。それが無意味に思えたのは、ただ自分がその意味を理解していなかっただけにすぎない。アンドレイはそのことを直感した。アンドレイがアウステルリッツの空→枯れた老木→無邪気な少女→芽吹いた老木という経路を経ることによって、小さな人間の生は復権された。」

「ピエールは、アナトーリとナターシャの駆け落ちの計画をソーニャから知らされ、ナターシャのもとに行く。しかも、それを恥じて自殺をはかり、生きる希望を失ったナターシャを赦し、自分が前からかの女を愛していたことを、自分でもはっきり確かめ、ナターシャにもそれを告白する。弱さをさらけ出し、恥辱にまみれたナターシャをこそ、ピエールは愛さずにいられなかったのだ。その告白の後、家に帰る途中、かれは凍てつく夜空を見上げながら、自分個人の愛が、まだ何かははっきりわからないが、もっと大きな行為につながることを予感する。」

それ以来、私の救世主はナターシャのような女性になった。
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