父の祥月命日を前にいつものように墓掃除に出向いた。墓地は私の生まれる前からで、70年余過ぎたころ墓石を新しくし、その流れで2回目の囲いの改修をした。その際、墓石の基礎下に掃除用具を収める空間を業者の勧めであつらえた。
いつものように用具を出そうと開き戸を開けると1匹のバッタが飛び出してきた。どうしてそこへ入り込めたかいまも不思議に思っている。初めて見る姿なのでグーグルレンズで確認する。バッタとは出るがその種類は特定してくれない。バッタは居場所を失い飛び跳ねていたが、ある挑戦を始めた。
その挑戦は、墓地内から一刻も早く逃避しようという試みに思え、掃除の手をしばらく休め苦笑しながら眺めていた。バッタは、墓周囲の高さ1㍍ほどの壁を乗り越えようとして、表面がつるつるの石の壁を登ろうとする。必死にしがみつきながら登るが、滑って落ちる。何度も落ちては登るを繰り返す。いや、その懸命さには私も兜を脱ぎ、何度目かの落ちるタイミングで箒を差し出し、草むらへ放してやった。
不勉強で目の前のバッタが成虫なのか成長中なのか分からないが、その挑戦意欲は野生生物の生きるためのDNAなのだろうか。それは人にも負けないように思えた。放したバッタは草むらの中でどう生き延び、どう子孫へ繋いでいくのか分からないが、草むらですぐに身を隠した動きには野生を感じた。
(今日の575) 飛蝗の字読めぬ漢字に敬意ます
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます