「どんぐりという木はない」とそれらしい実が散らばった木の下で、お孫さんらしい男の子に話している私と同年輩くらいの男性の話を耳にした。「エッ」と思いながらその場は通りすぎた。
どんぐりは「団栗」書く。どんぐりと呼んでいる木の実は、ブナ科の果実の総称でいろいろな形や大きさがある。この同じような形の果実をまとめて「どんぐり」と呼んでいる。そして丸いという意味の「団」と「栗」に似た形からついた名前という。どんぐりはどんぐりの木になる、そう思い込んでいた。
どんぐりはデンプン質に富み、それは多くの動物の餌さとして知られている。終戦直後にはこれを拾って短い期間だが学校へ持参したことがある。給食用のパンに加工されたのだ。
先日、強い風とこの季節には珍しく激しい雨の日があった。荒れた翌日の公園は小枝が散乱し、どんぐりは撒いたように散らばっていた。が、多くが土に埋もれていた。童謡のように「ころころ」転がることは出来ない。何かの小動物が餌にしてくれたならどんぐりは本望だろう。
どの樹木のどんぐりも並べて比べると形状はほぼ同じである。このことから、抜きん出たものが存在しない集団を指して「どんぐりの背競べ」と言う。争いは起きない変わりに進歩もないだろう。多少は刺激を受ける日々が楽しいことにまちがいわない。
(写真:埋まって転がれないどんぐりたち)
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凄かったですよ。
子供の目には、全てをポッケに入れたくなる存在のようです。
ただ、口に入れることはありませんでした。