散策の道沿い、青梅が散乱している。近くの裏通りでは、塀の上からはみ出た梅の枝から青梅が落ちている。狭くてもアスファルト舗装されているので隣の入り口まで転がっている。青梅は熟し柿のように落ちてもつぶれないし車も通らないので道はきれい。それでも多少の哀れさを感じさせる。桜に先駆けて咲いた梅の花、実のなるとき姿はないが落梅をどう思うだろう。
「梅は食うとも核(さね)食うな、中に天神寝てござる」。生梅の核に毒のあることを戒めた句で、天神とは、「梅に縁のある菅原道真をさす」と載っている。生梅を食した記憶は無いが、「落ちている梅は絶対に食べるな」と子どもころに強く聞かされ守っていた。天神さまが座すなどの理由は記憶に無いが、見ただけで酸っぱそうな落梅を口にすることは無いだろう。
九州出身で歯のすごく丈夫な知人がいた。彼の弁当には母親から送られてくる梅干しが入っていた。弁当の最後に梅の種を奥歯で割り天神様の姿を見せていた。白系で少しふっくらした三角形のような記憶がある。その彼がいくつか持参しその一つを口にした。少し酸っぱかったように思うが、そのほかのことは思い出せない、残念なことをしたものだ。
救急病院、いや、救急車すら知らない昔、町内の大方が世話になっていた医院の先生が「『1日1個の梅干しで医者要らず』というが、それで効かなくなった訪ねておいでえ」、ある飲み会で座を笑わせたことがあった。腹痛といえば梅干し、食欲がないといえば梅干し、日の丸弁当は饐えない、梅エキスは元気の源、そんなことごとを思い出す。今は購入梅干し、南高梅は確かにうまいと思うが値も高い。
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