傍に立つ棒に左手をかざし、右手に風船を持って振っている。しかし、足は衣装で隠れていて見えないが身体は間違いなく宙に浮いている。この宙に浮いた人に気づいた男女を問わず大人も子供も近くによってしゃがんでのぞき込む。笑いながら不思議そうな顔をしながら浮いている人を見るが、浮いている人は知らぬ顔で風船を振り続ける。
普通人には出来ない離れ技に見えることを曲芸という。曲芸団は近くに来ていないから芸が専門の人ではなさそうだ。浮いていることが苦痛そうには見えないし、時には笑顔さえ見える。また、会話もしていることから普通の人に違いない。ではどうして浮いているのだろう。
「種も仕掛けもございません」という有名なマジシャンも大小の違いはあっても必ず仕掛けがある。仙人でもない人が浮くからには同じく仕掛けがある。仕掛けという言葉、広辞苑を開くとたくさんの意味解釈があるが、ここでは装置、からくり、構えなどが適当だろうか。
浮いている人の仕掛けは、浮いている人が自分で作ったある装置が取り付けてある。どこにでもありそうな廃材を複数個組み合わせてある、と聞いた。話はそこまで、期待を持たせて読んでもらったが種明かしは控えておこう。イベント会場を訪れた子どもさんのために夢は夢のままにしておこう。
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