同年輩数人の雑談。年金や医療、介護など前期高齢者らしい話題がひとまわりした。これまでに聞いた話題もいくつかあった。ころを見計らったように「わしらは生かされとるんじゃあないかのう」と、病み上がりの1人が話し始めた。彼はこう言う。
「皆も何かの薬を飲みよるじゃろう。血圧や糖尿に肝臓とひとつくらいはお世話になっとるじゃろう。昔なら脳溢血も心筋梗塞もガンも罹れば人生終わりだった。今は薬という粒を飲んで、長生きしているように思うが、薬で生かされとるんとちがうかのう」
ちょっと間をおいて、薬とその服用をはじめたころの話になった。治療や予防のためにと医師の指導で何かを服用している。確かに薬で長生きさせてもらっている、間違いではないようだ。そうであってもそれを一方的に絶つとことはならない。
帰り、小春日和の柔らかな日ざしに輝くすすきを見た。話の余韻からか、頭を下げた人生の旅人のように感じたが、すすきは自然のまま自然へ帰っていく。そのとき次の世代のために大きく張った根を残している。
「人生とは、稽古する時間もなしに自身が役割を演じなければならない芝居だ」という。たしかに生まれてこのかたリハーサルなしの本番を続けてきた。すすきには及ばないかもしれないが「精いっぱいやろうでよ」という病み上がりの人の言葉を思い返した。
(写真:自然の旅人のようなすすきの波)
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薬だけに限らず、人と人のつながりなど、お互いがお互いを生かし、生きさせてもらっているような…。
枝を離れれば 風にまかせ
地に落ちれば 土と眠る ・・・
ある冊子の中で見つけました。
今日のエッセイと似ているようで・・・
とわいえ、彼は前向きに進んでいます。
生死についてはそれぞれに思いが違います。が、必ず出会うこと、毎日を大事にしたいです。