日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

小さな医院の待合室

2018年08月03日 | 地域

 城下町名残の通りには、街の大きな病院では見られない「待合室」がある。玄関は自動ドアになっているが、出迎えてくれる下足箱は昭和を思わせる木製、履物を脱ぎしゃがんで持ち上げ棚に置く。その所作は一人あて、並んでは出来ない。「よいしょ、お先に」と待っている私に高齢の女性が声を掛け受付に向かう。

 受付は木製の小さな窓、診察券と保険証を出しL字型に置かれた長椅子に腰かけて順番を待つ。床は板張りで黒光りした艶は、2代目先生の風格を感じさせる待合室だ。「駅や病院などで、客が時間や順番が来るのを待つために設けた部屋(広辞苑)」が待合室、辞書通りのたたずまいだ。この言葉は今も使われているのだろうか。知り合った同士の会話が弾む。入りはやはり「この暑さ」から。

 夏休みで子どもらも多い。しっかり治療して2学期を迎えて欲しい。2代目先生はよく海外旅行をされる。そのためか盆や年末年始の休みが長い。この夏は11日間らしい。患者もそこはよく承知している、ローカルならではの関係だろう。そのお土産か、旅行の写真が待合室を飾る。今は、南アフリカのビクトリア滝とチョベ国立公園のサファリーの写真、その傍に木製の小さな動物の彫り物。子どもらはのぞき込んで見ている。

 毎年8月第一土曜日は錦川水の祭典、というより「錦帯橋の花火大会」と呼ぶ方が分りいい。例年、10万余の人が6千発の花火を観賞する。それをメインに帰省する家族も多い。待合室もそんな話題で明るい。花火大会の準備、焼け付く川原でさぞ大変だろう。
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