時代物小説の好きな仲間が「移動の方法は今も昔も変わらん」というのは「昔は籠、今はタクシー」という。確かに、客の行先を聞いてそこへ届けて料金を受け取る、改めて言われると妙に納得する。料金は後払い、籠の時代には「一杯やんな」と心づけをはずむ場面もある。今なら「釣りはいらない」と言うことだろうが、私にはそんな覚えがない。
そのタクシー料金、乗る前に決める「前決め運賃制」導入の試験運行が東京で始まったという。行先を告げると示された料金で納得すれば迎車が来るという。但し、3千円以上の利用が条件という。ここ10年余、タクシーの利用は宴席からの帰りくらいで千円あまり、新方式が導入されても利用は出来ないようだ。
現役のころの昔話。東京出張、その日は赤坂のいつもの宿が予約できず板橋駅近くになった。仕事を終え同僚と酒交じりで歓談、宿へ向かう。初めての宿、板橋駅近くのホテル名を告げるとタクシーは走り出した。狭い道、ネオン輝く通り、無性に広い道も走る。まるで運転手が我が家に帰るようにすいすい走るタクシー、料金が気になる。突然「お客さん着きました」と運転手、告げたホテルのネオンが頭上に、場所を知っている運転手、途中の不安は霧散、お上りさんはうれしかった。
現役のころに採用で県内の学校訪問するとき、列車バスの乗り継ぎでは宿泊が発生する。採用担当になった年にタクシーチャーターを思いつき見積もり依頼、旅程は日帰可能で、料金は宿泊出張より安上りとわかり定年まで「前決め料金」で利用、タクシー会社は毎年同じ運転手で配車してくれた。前決め料金、安心して利用できるいい思い出になっている。
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