このお話は
「岩国の昔話と歌謡」(発行:昭和47年11月20日 発行所:岩国市立岩国図書館)より。
広島の町の中の、和泉屋さんという大きなお店がありました。このお家では、かなり手広く商売をして、みんなよく働きましたので、いえはどんどん栄えていきました。
ところで、このお店には、色白く、はきはきしたよいむすめさんがいました。なまえはお菊さんといい学問もよくできました。その上、きれいなむすめさんだったものですから、道を通る人びとも、このむすめさんのうわさでもちきりでありました。
ある年のこと、お世話する人がありまして、おはなしが、とんとんびょうしに進み、岩国の白銀屋孫三郎さんのところへおよめいりすることになりました。広島の和泉屋さんとしても、かわいいむすめをお嫁にやるのですから、できるだけのことはして、にぎやかな門出にしてあげました。
いくつものたんす、長持ちが、船便でおくられ、新港から、つぎつぎと陸揚げされました。ところで、これらたんす長持ちとともに、めずらしくすばらしいはこいりの内裏びなが、白銀屋さんのところへとどけられました。
このだいりびなは、和泉屋さんのいえとしては、とても大切にしており、せんそからつたえられたもので、せめてかわいいむすめのおよめいりのお伴をさせたい、ご両親のやさしい心づかいのあらわれだったのでしょう。
すばらしいこのおよめいりの日には、隣り近所はいうまでもなく、遠い在方からも、たくさんのけんぶつ人が、あつまってこのおよめ入りをみにこられ、すっかり感心してしまったということです。およめ入りの日には、家の内も外もぎっしり人でいっぱいにんりました。
おむこさんの孫三郎さんは、はなよめさんを、おむかえしてうれしくてならず、はなよめさんをだいじにして、いっしょういけんめいに商売にはげみました。そのため、白銀屋さんは、ますますはんじょうしていきました。 (つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます