彼は有名大学を卒業し大手企業へ就職。普通に考えれば将来の生活も地位も約束されたように見えた。しかし、彼には大工になりたいという夢があった。会社生活を数年で辞め、東京の大工棟梁のもとに弟子入りし、勉学にも励んだ。
独立して丁度10年。彼の家造りは「土に還る家づくり」が目標。「できるだけ住む地で育った木を使って家を造り、役目が終われば、その地で土に還してやりたい。数十年かかって育ってきた木の命を全うさせるため、手間暇掛けたい。そう考えながら、ゴミにならない家づくりを目指しています」と志をブログに記している。
そのためにどうしているか。地元の山の木を原木で購入して製材、桟積みして天然乾燥する。できるだけ金物や新建材を使わず、手刻みによる木組みで家を建る。既製品の使用をできるだけ抑え、職人による手仕事を重視する。
完成した家を見学した時の第一印象は、これまで見慣れた新建材多用の家とは床も壁も建具も柱も何もかも違い、木の檻に入ったような異様さだった。木の特徴と部屋の用途を考え「自ら細工をし加工した部材」が使われている、説明を聞くうちに理解できた。
彼は古民家の再生に一方ならぬ意欲を示し、これまでに複数の再生をなした。「生活の足跡の残らない家や家具に魅力はありません。必ずできる傷やくぼみは、家具としての味わいを深める」という心情で再生に当たるという。40代なかば、健闘を祈る。
(写真:木造の家大工の目にかなうだろうか)
一度、その家を見ないとコメントは難しいですが。
古民家の再生とありましたが、どのように再生されたのか興味深いです。
防腐剤は柿の渋を使うなど工夫しています。1度見てやってください。