中年のスーツノーネクタイの男性がメモを片手にスーパーの食品コーナーで目的の品を探す姿に相次いで出会った。ここからは勝手な想像。様子から初めての単身赴任、当面の食事用にと、奥さんの書かれたメニューに従って食材を探している、異動の季節なのでそう思った。紙面に載る人物紹介で特に官庁関係者の単身赴任は多い。
現役時代の役職者には学齢の子供を連れて赴任する人もあったが、単身赴任の人が多かった。しかし、子どもが中学生くらいになると申し合わせたように単身になった。賄いの単身赴任寮と専任の管理人が常駐し、食事の心配もなく仕事に専念できる環境だったが、現在はどうなのだろう。
「遠方への転勤者が家族を残して一人で任地へ赴くこと」と辞書はさらりと解説する。私はその経験がなくそのご苦労は経験していない。経験はないが仕事として何十人という単身赴任者を送り出した。フォローとして赴任先を訪問し生の声を聞き、仕事に専念できる気配りをしたことなどで、その何分の一かは理解していたと思う。何十年も前になるが、転任雑費からででは支度が難しい冷蔵庫、洗濯機、レンジの3点を会社貸与制とし喜ばれた。
小さなレシピメモだが、離れて暮らす家族、留守を守る奥さんとの絆の役目を担っているのではと思いつく。そうなら、毎週メモが届くかもしれない、それは健康を気遣い「父さん頑張って」の声になる。慣れないスーパーの陳列から目的の食材を探す人の姿が丸く見えるのは思い過ごしだろうか。
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