みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

名をあげよう

2023年01月16日 | 創世記

創世記 11章1−26節

 本来なら雪になる頃なのに、気温が平年より高いので雨が降り、河川は増水して洪水の被害が報じられています。

 11章の前半は「バベルの塔」の話、後半はセムの家系の続きが記されます。クシュの人ニムロデは「地上で最初の勇士」であり、「主の前に力ある狩人」だと書かれています。彼はシンアルに王国を確立し、さらに拡大していきました。バベルの塔は、シンアルの地に建てられようとしていました。

 創世記は、バベルの塔をニムロデが建てようとしたとは明記していません。しかし、ニムロデが確立した王国がこの塔をたてようとしたということは、ニムロデの姿勢、影響を反映したものだとは想像できます。

 4節の「名をあげよう」ということばに目が留まります。神は、人々の高慢さに危険を覚え、塔を建てようとする企てをことばを混乱させることによって止めさせようとされました。ニムロデについての紹介では「主の前に…」ということばがありました。それはニムロデの強さは主とのかかわりの中で、主が賜ったものだということを伝えているのでしょう。

 世界には何千という言語があります。言語は自分の考えを相手に伝えるために用いられますが、通じなければ伝えられません。現代は、さまざまな翻訳のツールがあり、大変便利になっています。もしかしたら、今以上に言語の違いを乗り越えるツールが便利になり、ほとんど境目がなくなるときが来るかもしれないという人もいます。

 それはそれでありがたいこと、便利なことなのですが、それが神に反逆するために用いられるのだとしたら、複雑な思いです。つながり合うことによって神をたたえるのではなくて、神に逆らうものだとしたら……。

*ペーテル・ブリューゲル「バベルの塔」(ウィーン・美術史美術館)


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