みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

心を明かす

2013年09月05日 | 士師記
士師記16章


 「だれに心を明かすか」はよく考えなければなりません。
 欠けだらけの私たちお互いは、「ここだけの話だけど…」と「秘密協定」を一時は締結しますが、あっという間に「ここだけの話でなくなってしまう」場合が多いのです。

 サムソンがデリラに自分の心のうちを明かしたのは、致命的な失敗でした。サムソンは、デリラが毎日同じことを言ってしきりにせがみ責め立てたので、死ぬほどつらかったとあります。「私を愛しているならどうして…」と迫られたのですからたまりません。デリラはよほどサムソンにとって魅力的な女性だったのでしょう。

 とうとうサムソンは、自分の力の源がどこから来ているのかを明かします。その先は聖書が記すとおりに物事が進みます。これまでは、力に任せてしたい放題をすることのできたサムソンが、痛めつけられ足かせをかけられて暗い牢の中で臼を引いているのです。

 心に留めたいのはサムソンの祈り。「御心に留めてください。」「この一時でも、私を強めてください。」彼はここに来て、やっと自分の心を明かすべき相手に明かしたのだといえます。自分の力に慢心していたサムソンは、それが神から来ることを告白しています。同時に、彼の願いは自分のえぐり取られた二つの目のために復讐したいという私怨のようなものでした。けれども神は、サムソンの整わない願いをさえ受け留めて、ペリシテ人との間に事を起こされた(14章4節)のです。


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